2月29日に演奏会に出演(ガルテン#78)して以降、コロナ禍の影響により様々な演奏会が中止となり、お客様をお呼びしての演奏会から遠ざかっていました。
(多数の奏者を集めての演奏活動としては3/21の東西リズ交流OFF 関東編が最後。また平成音楽会主催による「だいたい平成テレミュージック」で遠隔演奏を実施、第1弾の第九が5/26に、第2弾のSeptemberが6/10に公開されています。)
練習活動は各楽団とも徐々に再開しているところですが、公演本番としては初めて、アーベントフィルでの演奏会が9月6日にありました。
アーベント・フィルハーモニカー 第23回定期演奏会
- 日時
- 2020年9月6日(日) 開場19:15 開演19:30
- 会場
- 国立オリンピック記念青少年総合センター 大ホール
- 入場料
- 無料
- 曲目
- リヒャルト・シュトラウス / 交響的幻想曲「イタリアから」
- グスタフ・マーラー / 交響的音詩「巨人」(交響曲第1番、花の章付 ブダペスト稿版)
- 指揮
- 小柳英之
「イタリアから」はR.シュトラウスの初期の作品らしく、より後に作られた「英雄の生涯」「死と変容」「ティル」などと比べて小振りな2管編成プラスαぐらいの編成です。個人的に特徴的だと思ったのはチューバが編成に含まれていないことで、そのためチューバとコントラファゴットで和音を構成する、という場面がいくつか出てきました。
コントラファゴットは第1楽章の冒頭をコントラバスとハープと共に奏で始める、という使い方もされていました。ホールに響き渡る低音を支える、という快感を味わえました。
第4楽章「ナポリ人の生活」は、当時まだ著作権が残っていた『フニクリ・フニクラ』をメロディーに使ったがために、シュトラウスが演奏する毎に著作権料を支払う羽目になった、というエピソードが有名なようです。演奏してみると、同じフニクリ・フニクラを様々なバリエーションで展開していて、そしてこれが聴衆を飽きさせないようになっていました。なるほど、これは著作権を払ってでも残したい楽章なんだな、と思いました。
マーラー交響曲第1番は、2007年に東工大オケで、2017年に地下オケで演奏したことがあり、今回で(版が違うけど)3回目の演奏となりました。が、これまでの2回は1stファゴットで、3rdファゴット&コントラファゴットでの出演は初めてでした。
3rd&コントラの出番は1stファゴットよりも少なく、第2楽章(花の章)と第4楽章は休みなのですが、持ち替えがそれなりに頻繁にあり、しかもかなり短時間で持ち替えて演奏を再開する必要がありました。幸いにして全ての持ち替え箇所で成功しましたが、首席ではないなりに奏者として検討するべき箇所がありました。
「花の章」は改めて聞くと叙情的過ぎて他の楽章から浮いているように思えるのですが、良い曲であることもまた確かと感じました。
ブダペスト稿での演奏ということで、一般的に流通している譜面から変更する箇所がいくつかある、というのが本公演での醍醐味でもあります。わかりやすいところでは、第1楽章冒頭のクラリネットのファンファーレがホルンである、バスクラがないためファゴットなどに割り振られている、などでしょうか。3rdファゴットには目立つような変更点はありませんが、最終楽章で少しメロディーが混じっているなどの変更がありました。
マーラー交響曲第1番の譜面をブタペスト稿に修正した、「そりゃ変更するわ」って言いたくなるクソ高音域だった pic.twitter.com/G6on0oC0Jb
— B4たかし (@b4takashi) August 21, 2020
テレミュージックなどで演奏を披露してはいるものの、同じ舞台で目配せをしながら同じ音楽を作り上げ、ホールという大空間に響かせる、という体験を久々に行う貴重な機会となりました。コロナ禍により通常とは違う演奏の仕方を模索してはみたものの、やはり通常に近い配置で、ホールにお客様をお呼びして演奏するというのが最も楽しいと感じ入りました。通常での演奏会をどこでもできる状況にはなっていませんが、是が非でもこれまで通りの演奏活動に戻っていきたい、と改めて感じた演奏会でした。