「名称なんて飾りです!」を体現したかのような大学統合 – 東京医科歯科大学と東京工業大学は東京科学大学へ

最近は当ブログの更新頻度が著しく下がっておりました。ただ、特に東工大の在学中は連日取り上げていた私ですから、このネタは一応は触れておこうと思いました。

東京工業大学+東京医科歯科大学=東京科学大学 ロゴ
東京工業大学+東京医科歯科大学=東京科学大学 ロゴ

東京工業大学と東京医科歯科大学が統合、2024年10月1日より東京科学大学となります。

大学統合の背景とか、これからどうなるんだとか、そういうことは既に報道されているので良いとして。私は大学の名前が変わることで、在学中に私の研究室の教授が話したことを思い出しました。

研究室のイベントとして、合宿と称して旅行に年に1度行っていました。学部4年生や修士・博士など、所属したばかりの人も含め懇親を深めるため、教授・准教授の車も含めて便乗して関東近郊に1泊2日の小旅行を行っていました。

その年は富士五湖の山荘が目的地で、大岡山キャンパスを出発し、東名高速道路を西に向かって走っていました。郊外を走っていると、右手にいくつかのビル群が見えてきました。そのうちの比較的背の高いビルの壁面、いちばん上に「東京工業大学 すずかけ台キャンパス」という看板が掲げられていました。『東工大といえば大岡山キャンパスがメインだけれど、ここ横浜市長津田にもキャンパスがあるんだよ!』と主張しているかのようでした。

それを目にした教授が、こんな愚痴を溢していました。「東工大は技術力こそがブランドなんだから、私立みたいに名称を宣伝する必要なんてないんだがなあ」、と。

東工大は東大に次ぐ理系総合大学として実力ある大学、のはずなのですが、知名度という点で見劣りしているような意識が学生の間になんとなく蔓延していました(そんな認識だから東工大コピペなんてものもあるわけで)。ただ大学教授としては、知名度などに振り回されず、きちんと研究開発で胸を張ってほしい、と思っていたのでしょう。だからこそ、同じ学内でも「知名度を上げなきゃ!」という動きには苦言を呈したかったのでは、と思うのです。

ちなみに今でもそんな感じの看板は残っているみたいです。


このエピソードを思い出したのは、(東京医科歯科大学の方はどう思われているか分かりませんが)東京工業大学にとって、名称というのはやはりそれほど重要ではないんだろうな、ということです。

東工大 大岡山キャンパスに近い武蔵工業大学が、運営する学校法人の他の学校と合併し「東京都市大学」となったとき、改称反対の署名運動が起こったそうです(当時のことを記述したサイト)。京都造形芸術大学(→京都芸術大学)の名称変更問題や、大阪市立大学と大阪府立大学が統合してできる大阪公立大学の英語名称について、(国立)大阪大学が苦言を呈するなど、大学の名称が変わるときには多少なりとも軋轢が生まれうるものです。

しかし東工大と医科歯科大の統合、そして東京科学大学への名称変更に対しては、特に大きな反対運動はなかったようです(東京科学大学という名称がダサいと思っている人は少なくないみたいですけど)。大学に愛着がある人は少なくない、と思うのですが、名称が変わることに抵抗がないと言うか、抵抗はあるけど時代の趨勢なんだろうとか、諦めにも似た認識の共有があるのかもしれません。

ただ、最後にこれだけは言っておこうかな・・・東京工業大学の名前がなくなるの、やっぱり淋しいなあ!

ちなみに大学サークルでいうと、東京工業大学管弦楽団(東工大オケ)は東京科学大学管弦楽団に名称が変わるようです。東京医科歯科大学のオーケストラは、お茶の水女子大学とのインカレでお茶の水管弦楽団という名称なので、特に問題はなさそうです。他のサークルだと統合とか名称変更に工夫が必要だったりするんでしょうか・・・

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