岡崎健教授が東工大学長内定を辞退、学長選考が約一年続く異常事態に

昨年10月24日に東京工業大学の新しい学長に就任予定だった岡崎健教授に不正経理があったとして文部科学省が待ったをかけていましたが、今年の2月17日になって岡崎教授が就任を辞退することとなりました。

東京工業大学(東京都目黒区)の次期学長に内定していた岡崎健教授(62)が、自身の研究室で国の補助金をめぐる不正経理があった責任を取り、就任を辞退した。17日、同大が明らかにした。同大では、昨年7月にも当時の学長内定者が不正経理問題で辞退している。

岡崎教授は、去年、次の学長に就任する予定だった別の教授が不適切な経理処理を行っていたことが分かり、就任を辞退したことを受けて、代わりに学長に就くことになっていました。ところが、岡崎教授についても不適切な経理処理の指摘があり、就任を一時留保したうえで、大学の調査委員会が調べた結果、岡崎教授は直接関わっていませんでしたが、研究室の別の教員が、研究費の一部を取り引き業者に預けて次の年度の別の経費に充てていたことなどが分かりました。

大学では、学長選考会議を開いて辞退届を受理する方針で、次の学長予定者が2人続けて辞退するという異例の事態となっています。

学長候補者について(お知らせ)

2012.02.17

現在文部科学大臣へ上申中の学長候補者から、本学学長及び学長選考会議議長あてに、2月16日付で学長候補者を辞退したい旨の届けがありました。

これを受け、本学としては早急に学長選考会議を招集し、本件についての対応を審議することとしておりますので、その旨お知らせします。

2011年10月から就任予定だった東工大の新学長についての動きを、ここで纏めてみようと思います。

現在の東工大の学長である伊賀健一氏の任期は当初は平成19(2007)年10月24日から平成23(2011)年10月23日までであり、2011年の3月25日には次期学長候補者の選考が告示されていました。

学長候補者の選考について(意向聴取投票日:6月27日(月))

2011.05.20

学長候補者の選考について、別添のとおり3月25日より公示しておりますので、お知らせします。

(総務部総務課)

学内に告示された資料により、5月23日に大倉一郎 副学長、岡崎健 工学系長・工学部長、古井貞熙 特命教授の3名の候補者が発表されました。

学長候補者選考における投票権者名簿の縦覧と学長候補者(第二次候補者)及びその選考理由等について【学内限定】

2011.06.20

このことについて、投票権者宛てに6月7日付けメールにてお送りしたとおり、投票権者名簿を下記のとおり縦覧いたします。

なお、投票日程等についても併せてお知らせします。

また、学長候補者(第二次候補者)及びその選考理由並びに所信・略歴についても、下記のとおり公開しております。

(総務部総務課)

※本HPについては、6月7日(火)からお知らせしています。

その結果、6月30日には大倉一郎 副学長が選出されていました。以下が東工大の公式発表へのリンクに言及した自分のツイートですが、リンク先は現在削除されています。

[blackbirdpie url=”http://twitter.com/b4takashi/status/86336166282002433″]

しかし7月28日に本人が「一身上の都合」により学長就任を辞退、その後の報道で業者への預け金などの問題があったことが明らかになりました。

再び選考会議を行った結果、10月4日に新学長に岡崎健 工学系長・工学部長に決定したました(当時のb4logの記事)。

しかし10月19日以降の報道により、岡崎健教授にも不正経理の疑いがあったために、文部科学省が学長任命を留保しました(当時のb4logの記事)。

東工大の学長が不在になるのを防ぐため、伊賀健一 現学長の任期を2011年10月24日から次期学長が任命されるまでの間延長することを10月21日に決定しました。2012年2月23日現在もこの状態が続いており、平成24(2012)年頭挨拶も伊賀学長が述べています。食料・エネルギー不足や東日本大震災などを「立ちはだかる壁」として乗り越えねばならない、と記していますが、そんなことより新学長が選べられないほうがよっぽど問題です。

なお、上記2件の不正経理について、東工大は2011年7月25日に調査委員会を、10月21日に特別調査委員会を設け、それぞれ10月21日と2012年1月19日に結果をウェブサイトにて報告しています。

今回の岡崎教授の辞退により、東工大の次期学長専攻が約1年にも及ぶこととなってしまいました。当初の学長候補者の3名のうち2名が辞退したことから、次期学長には古井貞熙 特命教授(2011年までは大学院情報理工学研究科計算工学専攻 教授)になりそうな気がしますが、どうなるのでしょうか。

それよりも、2者続けて不正経理で学長候補者が辞退する、大学側の経理の杜撰さのほうが問題ですね。2008年度からは検収センターを設置するなど様々な対策で研究費の適性な執行を行なっているようですが、過去の研究費の管理についても、今一度精査すべきでしょう。学長に名乗りを上げる人は、そういった金の使い道についてクリーンであることを確かめた上で立候補してもらわないと、今後も同じような問題が起きるでしょう。

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