池上彰氏、東工大教授に就任 ― 「リベラルアーツセンター」で2012年度から

NHKの元記者・キャスターで、現在は各種メディアにフリーランスとして出演する傍ら、信州大学特任教授として活躍している池上彰さんが、東京工業大学に新たに設置されたリベラルアーツセンターの教授として、2012年から教鞭をとることが分かりました。

池上彰教授
教授 池上彰
池上教授からのメッセージ

リベラルアーツを敢えて日本語に訳すと、「教養教育」ということでしょうか。日本の大学教育は、専門性に重点を置くようになっていますが、その結果、人間としての「教養」に欠けた人材を出すことになっていないか、との反省が語られるようになりました。

では、その「教養」とは何か。大学で学生に伝えられる「教養」とはどんなものか。東京工業大学に学ぶ理科系の学生に身につけてほしい「教養」とは何か。

私も社会科学系の科目を担当します。大岡山のキャンパスで、学生諸君や同僚たちとの議論を通じて、リベラルアーツの現代的役割を探っていければと願っています。

[担当科目]
「現代日本を知るために」「現代世界を知るために」
「ニュースから現代を見る」「現代世界の歩き方」

この情報を最初に公開したのは宗教学者・文筆家の島田裕巳 氏、同じくリベラルアーツセンター専任教授で現在も東工大の価値システム専攻に所属している上田紀行 氏のメールで知ったそうです。

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2月1日(水)池上彰さんの東工大教授就任をツイートして由紀さおりを聞く

上田紀行さんのメールで、池上彰さんが東工大のリベラルアーツの教授になったことを知る。この前上田さんに会ったときは、別にその話はしていなかった。これをツイートしてみると、まだ世間に出ていない情報のようで、たちまち理ツイートされる。授業科目を見ると、テレビのまんま。しかし、今の大学ということを考えると、池上さんのような人の授業は必要なのかもしれない。だからといって、他の先生は真似られないし、また逆にほかのメディアの人がやってもできないし。

ただ、この情報自体は既に幾人かの学生にも知れ渡っていたようで、2月1日に情報が解禁されたということだそうです。

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2012年度の授業からリベラルアーツセンターが本格的に稼働するようですが、このセンターは東工大全学科目の文系科目を充実させ、リベラルアーツ(教養)教育を推進するために、2011年1月7日に設置されました。

2006年に設置された世界文明センターに続く人文系の学問を牽引するセンター(組織)ですが、こちらは芸術学院・人文学院という2つの組織の元、ワークショップなどを含む具体的・専門的な授業や講義を行なっています。リベラルアーツセンターは、より広範かつ全人類的な学問を担当するようです。

桑子センター長からのメッセージ

東京工業大学リベラルアーツセンター(以下、「センター」)は、東京工業大学の全学科目における文系科目の充実を図るとともに、文系分野のリベラルアーツ教育を推進するために平成22年1月に学内共同研究教育施設として設置されたものです。

この度、センターは、センター長と専任教授2名の体制で実質的な活動を開始します。理工系学生の人間性を高め、また社会性を培うためのリベラルアーツ教育のあり方について検討を進めるとともに、平成24年度の文系基礎科目、文系導入科目、文系専修科目、総合科目の一部を担当いたします。

東工大生の人間としての「根っこ」の部分を担うリベラルアーツ教育のあり方について、本学の教員、学生のみなさんからも意見をうかがいつつ、議論を深め、またセンターとして提案していきたいと考えています。

[担当科目]
「哲学」「倫理学」「風景学入門」「社会的合意形成の技法」
「医に展開する工学と生命倫理」

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さらにイロイロ調べたところ、以下のようなPDF文書を発見しました。一つは「東京工業大学リベラルアーツセンター規則」、確かに平成23年1月7日に発行されているようです。もう一つは「教員候補者の公募について」、2011年6月13日に作成された文書のようで、8月15日〆切で、リベラルアーツ教育を担当する教授1名を募集する内容となっています。池上彰さんもこれを見て応募したのでしょうか。

池上彰さんが信州大学の特任教授に就任したのは2010年のこと、8月に夏期集中講義を行いました。2011年もこの集中講義は行われ、その模様はBSジャパンでも放送されました。

ちなみに正確に何月何日から信州大の特任教授となったか、はよく分かりませんでした。当時の学生のブログ記事(7月24日付)を見ても、夏期集中講義の発表以前に学生には知らされていなかったようです。ちなみにWikipediaの記事に「信州大学 特任教授」の肩書きが付け加えられたのは2010年7月28日のこと。

なお、先述の世界文明センター所属のメンバーとして、東工大には東浩紀氏や猪瀬直樹氏などの特任教授が所属しています。しかし池上彰さんは「特任」の付かない教授のようです。

以下のページを見ると、特任教授という肩書きは大学によってマチマチなようです。

東工大の場合は、外部資金などの研究費で行う特定の事業や受託研究の場合は特任教授・特任准教授などの方が気になるようですね。

特任ではない教授という立場ですが、研究室を構えるのか、そして学生を所属させるのか、といったことは分かりません。ただどうやら今後は「フリージャーナリスト 池上彰」ではなく「東京工業大学教授 池上彰」として諸々の活動を続けるようです。…なんで東工大なんだろう、福島第一原発関連のニュースで鈴木正昭教授と解説した時にウマが合ったんでしょうか。

兎にも角にも4つの科目を受け持つ池上彰教授、東工大生に「いい質問ですねえ」と言わしめるようなアツい授業をしてくれるでしょうか。2012年4月からの講義が楽しみです、自分は受講できませんけど。

2012年2月22日追記:ゲンダイネットの記事によると、大学からの依頼によって教授職に就いたようです。

東工大教授に就任 ジャーナリスト池上彰氏が選んだ名誉職

「大学側から、『理科系の学生に社会科学的な素養を身につけさせてほしい』と依頼をいただきました。『従来の取材活動はそのまま続けてもらって構わない』という条件だったので、お受けしました。前期に2コマ、後期に2コマを担当。現代の社会人に必要とされる素養とは何かを学生諸君とともに考えていきたいと思っています」

意気込みは十分だ。池上氏は1年ほど前、「執筆活動に専念したい」と宣言。テレビのレギュラー番組をすべて降板した。ただ、専任教授ともなれば、客員や特任と違って時間も拘束されるだろう。週刊誌を含めて5つの連載を抱えているのに、ご苦労なことだ。

「東工大は文芸評論家の江藤淳、教育社会学者で文相も務めた永井道雄、心理学者の宮城音弥といった面々も教授をやっていた。文系教育にも力を入れています。文芸や学問への憧れや思い入れが人一倍強い池上さんにとっては、魅力的なポストなのでしょう」(マスコミ関係者)

4月からは、古巣のNHKで週1のレギュラー番組も加わる。再び大車輪の活躍となるが、「民放の特番もバンバン入るだろうし、万が一、休講になったら? と心配する声も上がっています」(前出・マスコミ関係者)。

池上センセイ、大丈夫ですよね?

猪瀬直樹氏の「東京研究」も、本人が東京都副知事であるために授業の後倒しや休講が多い授業でしたが、それなりに面白い授業でした。他の講師の授業でも休講が続くものは有りましたし(ヒドいのになると、1ヶ月ほど講義がない期間が出来てしまった授業も有りました)、まあ何とかなるのではないでしょうか。それでも一日でも多く、東工大生に教鞭をとってほしいですね。

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