東工大 News経由で知ったのですが、百年記念館の2階のスペースにあった会議室を展示室として改装したところ、「大学既存施設の展示空間へのコンバージョン」というタイトルで、2010年度のグッドデザイン賞を受賞したそうです。
百年記念館2階展示室が2010年度グッドデザイン賞を受賞
本学百年記念館2階の新展示室が,2010年度のグッドデザイン賞を受賞しました。
グッドデザイン賞は,1957年に通商産業省 (現経済産業省) によって創立された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度) 」を母体とする,財団法人日本産業デザイン振興会主催の総合的なデザイン評価・推奨制度です。
今まで会議室があった2階を展示室スペースに転換して、今年の7月22日にオープンしたそうです。そもそも地下1階の展示室も含めて百年記念館を改めて利用した事が無かったので、この機に見学してみることにしました。
1階は喫茶コーナー(写真奥側)と談話ロビーになっています。談話ロビーは企画展示の際に展示スペースに利用されたりします。建築学科・建築学専攻の発表や、機械知能システム創造の発表会の場にも使われていますし、以前にはスタンウェイのピアノのお披露目コンサートにも使われていました。平日の午後にはピアサポーターが待機しています。
201号室は「地球史」の展示室です。この部屋は、地球史資料館が閉館したため、展示スペースとしてここ百年記念館の2階に開設されたものです。
- 地球・太陽系・宇宙
- 最古比べ
- 生物と地球環境の共通化
- 動物の誕生から現在まで:過去6億年の歴史
- 地球内部を探る
- 化学実験室としての地球
おおまかにこれら6つの内容で展示されています。最古の生命痕跡を含む岩石や、アンモナイトの化石、発光する蛍石など、様々な収蔵品が展示されています。テーマごとに纏められつつ、収蔵品を間近で触れられる場所に配置しているのが見やすくていいですね。
おとなりの209号室は「百年記念館 篠原一男」の展示室となっています。篠原一男氏は東工大出身の建築家で、教育・研究に携わる傍ら、多くの建築作品を発表してきました。何を隠そう、百年記念館を設計したのが、篠原一男教授なのです。
発表した建築作品の模型のほか、氏の発表した(多分)椅子も展示されています。
206号室は「電気〜光/通信の先端研究史」と題された展示室で、東工大で開発された真空管や水晶発振子などについての展示が行われています。レーザによる発振装置の実験が常時展示されています。ちなみに現学長である伊賀健一氏の面発光レーザについても展示されています。
何といっても、壁一面に配されている真空管のラインナップに目を引かれます。まるで骨董品を収蔵しているような趣を感じさせます(真空管は今となっては確かに骨董品扱いなのですが)。
一番奥の部屋である207号室は「東京職工学校創設〜新制東工大の発展」という名前の展示室で、東京職工学校と名乗っていた当時から現在に至るまでの東工大の歴史とそれにまつわる品々が展示されています。「東京工業大學百年史」や「蔵前工業会百年史年表」などは実際に手に取って閲覧する事も出来ます。それにしても、以前は「工大文芸」「大岡山文学」なる雑誌が存在していたんですね。
さすがグッドデザイン賞を受賞しただけあって、2階の展示室は訪問者にとって利用しやすい作りだったと感じました。会議室というそれぞれの部屋が独立している空間である事を活かし、それぞれの展示室ごとにテーマを区切って自由な順番で巡回出来るようになっています。また展示ケースが全展示室で統一され、それでいて展示品に対し主張し過ぎず、そして展示品の入れ替えに柔軟に対応出来るように移動しやすい設計になっているのは、確かに良い設計だと思います。
2階に比べると地階の展示室はやはり雑多な印象をうけてしまうのですが、2階が展示スペースになって場所に余裕ができたからでしょうか、展示室ごとにテーマがはっきりしているため、混乱する事は無いと思います。
どちらの階でも貴重な展示品を見ることが出来、入場料は無料です。開館しているのが平日の10時半から16時半と短いのがネックですが、とくに東工大の在学生の皆さんは、身近にあってもあまり入った事がない(と思われる)百年記念館、モニュメントや飲食店としてだけではなく、博物館という視点で利用してみては如何でしょうか。