演奏会パンフレットの曲紹介文も書いた毘沙門天管弦楽団 第60回演奏会が、2月20日に行われました。
毘沙門天管弦楽団 第60回演奏会
- 日時
- 2022年2月20日 開場13:00 開演14:00
- 会場
- ルネこだいら [小平市民文化会館] 大ホール
- 曲目
- (プレコンサート) ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト / セレナード第10番 変ロ長調『グラン・パルティータ』(Gran Partita)K.361 (K6.370a) より 第4楽章 メヌエット アレグレット、第6楽章 主題と変奏 アンダンテ
Wolfgang Amadeus Mozart / Serenade Nr. 10 in B-Dur KV 361 (KV 370a) – 4. Menuetto. Allegretto – Trio I–II, 6. Tema con Variazioni
- フェリックス・メンデルスゾーン / 吹奏楽のための序曲 ハ長調 作品24
Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy / Ouvertüre für Harmoniemusik in C-Dur
- ジョアキーノ・ロッシーニ / ファゴット協奏曲
Gioachino Antonio Rossini / Concerto a fagotto principale
- フランツ・シューベルト / 交響曲第8(9)番 ハ長調 D 944
Franz Peter Schubert / Sinfonie Nr. 8 in C-Dur D 944 „Dir Große“
- (アンコール) フランツ・シューベルト (団員編曲) / 『エレンの歌 第3番』(アヴェ・マリア) 作品5266, D 839
Franz Peter Schubert / Ellens dritter Gesang (Ellens Gesang III „Hymne an die Jungfrau“ („Ave Maria“), D 839, Op. 52 Nr. 6)
- 指揮
- 横山俊充
- ファゴット独奏
- 高島彩
- 入場券
- 全席自由 1000円
前プロでコントラファゴットやバセットホルンを使う(逆に言えば前プロでこれらの楽器の出番が終わってしまう!)ことから、これらの楽器を使ってプレコンサートを行おう!ということで出てきたのがグラン・パルティータでした。以前聞いたことがあったのですが、思わぬところで(全楽章の一部ですが)演奏の機会が回ってきました。全員での合奏練習は結局できなかったのですが、各メンバーの個々の技術力のおかげで良いアンサンブルになったと思います。前プロよりもメンバーが少ないことから、コントラファゴットやバセットホルンなどはこの曲のほうがやりがいが大きかった曲だったかもしれません。
メイン・中プロとのバランス――打楽器の団員全員が出番があるとか、弦楽器はメインのクオリティアップに専念できるかとか――から、オーケストラ団体の演奏会ながら管楽器(と打楽器)の曲が前プロとなりました。ヒネモスで過去に演奏した時はグライズル編曲によるサクソフォーンを含んだ編成でしたが、今回はオリジナルの譜面での演奏となりました。そのためバセットホルンにコントラファゴットを加え、イングリッシュ・バスホルンにはユーフォニアム屋さんを呼んでオフィクレイドで演奏いたしました。冒頭がガッツリずれてしまうというハプニングがありましたが、仕切り直して演奏したらへんな力みがなくなったためか、まとまりある演奏になったのではないかともいます。
この記事でも宣伝したロッシーニのファゴット協奏曲、正直なところ、舞台上でただただ高島さんのソロの技巧に聞き惚れている20分ほどでした。細かな連符や容赦のない跳躍はもとより、一音一音の音の良さ、響きの豊かさが、ソリストの背中越しでも伝わってきました。ファゴット奏者としてファゴット協奏曲の演奏を同じ空間で聞くことができたのは素晴らしい僥倖でしたし、この曲を舞台上でなく客席から聞けないのが唯一の残念でなりません。
メイン曲のグレート、天国的な長さ
といわれるだけの演奏時間の長さ、譜面の長さですが(最終楽章が1155小節!)、今回の演奏会での演奏はメリハリを効かせて軽快に演奏する箇所が多かったからか、間延びせず良い演奏になったのではないかな、と思っています。第1楽章冒頭の木管同士でのアンサンブルと中間以降の弦楽器などとの掛け合いやトロンボーンのコラール、第2楽章のオーボエソロとそれを支える木管、第3楽章のトリオでの木管のメロディ、第4楽章のスピード感と最終部のCの連打など、それぞれ良い印象でした。
アンコール「アヴェ・マリア」はオリジナル編曲であるのでトロンボーン含め全員が演奏する編成でした、比較的静かな曲でしたが、せっかくの第60回で全員が曲で演奏するような流れで良かったですね。
さて。前回演奏会に続いて、本演奏会のチラシも私がデザインを担当することとなりました。
これまでは演奏会ごとに国や曲の方向性がある程度決まっていましたが、今回は「第60回というマイルストーンとなる回数の演奏会」ということで、それぞれの曲の特別感はありつつ、曲目を通しての共通性はそれほどないラインナップでした。
そこで今回は曲にまつわる風景の写真ではなく、毘沙門天管弦楽団そのものをデザインのモチーフとすることとしました。特に管楽器セクションのトレーナーでありソリストを務める高島さんと、正指揮者である横山さんが合奏に参加する日程を狙って、合奏風景の写真を撮ることとしました。
編成全体が撮影できるように魚眼レンズを購入して、上や横から撮影してみたものの、練習期間の前半で弦楽器メンバーが揃っていないタイミングであったため、合奏に参加するメンバーが少なくてなんだか淋しい雰囲気になってしまいました。
そこで合奏の中心(ビオラのプルト裏の席)で撮影した写真を使うこととしました。これであれば指揮者やソリストの顔も見えますし、弦楽器がトップ陣しかいないところもカバーできました。
オーケストラの合奏風景という題材が適切であると考えて、Facebook公式ページにも使用することとしました。こちらのページ、本番前日にゴタゴタがあって(半公式となっていたOfficial Fan Pageが本番前日に一方的に閉鎖を告知されるという一大事でした)急遽作ったページなのですが、この写真を用いることで毘沙門の公式であることを即座にアピールすることができました。
特殊な編成であったり難しい曲に取り組んだ今回の演奏会、私が取り組んできた何回かの演奏会でも良い演奏会になったと感じています。次回以降の演奏会にもつなげていきたいですね。