それで、愛って何だったの?――THPO第16回公演《この曲に愛をこめて》

11月24日は私が所属し、運営事務局として参加している、東京ハートフェルトフィルハーモニック管弦楽団の第16回となる演奏会でした。

演奏会が終わって1ヶ月ほど経ったから言えるけれども、今回の演奏会開催は本当に大変だった。混乱で何度か死にそうになった。

東京ハートフェルトフィルハーモニック管弦楽団 第16回演奏会《この曲に愛をこめて》

東京ハートフェルトフィルハーモニック管弦楽団 第16回演奏会《この曲に愛をこめて》 フライヤー第2版
東京ハートフェルトフィルハーモニック管弦楽団 第16回演奏会《この曲に愛をこめて》 フライヤー第2版
日時
2018年11月24日(土) 開場13:30 開演14:00
会場
文京シビックホール[響きの森文京公会堂] 大ホール
指揮とお話
小久保大輔
曲目
ピョートル・チャイコフスキー / 幻想序曲『ロメオとジュリエット』、第1稿(抜粋)、最終稿
セルゲイ・ラフマニノフ / 交響曲第2番ホ短調作品27
入場料
500円 全席自由
60歳以上、15歳以下、文京区民のお客様は無料(当日受付で証明できるものをご提示ください)

まずは曲目。チャイコフスキーのロメオとジュリエット、ラフマニノフの交響曲第2番というラインナップは団員の投票によって決まったもの(当初のテーマは「THPO愛を語る」)。非常に魅力的なプログラムである――演奏団体が東京ハートフェルトフィルハーモニック管弦楽団(THPO)である、ということを除いては

曲に込めた作曲家の気持ちを語りで入れたり(第9回演奏会 (2011.12.03)など)、曲の内容に合わせた映像をホールに流したり(第14回演奏会 (2016.10.08))、演奏以外では初心者にもわかりやすい曲目とパンフレットをセットにしたり(第12回演奏会 (2014.10.13))、曲を演奏するのはもちろん、曲以外の面でもお客様に楽しんでもらうのがTHPOの特徴の一つであり最も大きい魅力。チャイコのロメジュリ、ラフマニノフの交響曲第2番、どちらも名曲ではあるが、それをどうやって企画に昇華させるか、しかもテーマが『愛』…事務局でも方針がなかなか決まりませんでした。

最終的には指揮者である小久保先生の提案も踏まえ、初稿版をまずはじめに断片的に演奏、それを聴いていたグラズノフが「ちがうちがう、こんな曲じゃ全然だめだ!」とチャイコフスキーに叱咤し改稿を迫る、というエピソードを指揮者の一人芝居で行ってもらうことにしました。初稿と最終稿の違いを伝えることが出来たのは良かったかもしれません。小久保先生の演技が迫真に迫るものだったのは嬉しい誤算でした。

大変だったもう一つは、チラシやパンフレット、チケットに用いるデザイン。4度目となるTHPOのデザイン業務でしたが、今回は本当に大変で。《大いなる川とともに》ならば川の写真を組み合わせ《動物だ! オルガンだ! サン=サーンスだ!!》ならば動物とオルガンとサン=サーンスを組み合わせる、などテーマに沿ってどのような画像を使うか、拠り所がありました。《Another World》であれば異世界感を感じられる首都圏外郭放水路の写真を使うなど、そのものの写真じゃなくても思いつくところはありました。

愛って何だよ」、この曲目が決まったときに真っ先に思いました。果たして愛にふさわしいモチーフってなんなのか、半年間考えに考えました。「愛といえばやはり薔薇か」という結論に達し、増加のバラを購入し、両曲のスコアを背景にした写真を何枚か撮影してデザイン素材にしました。愛そのものを撮影したわけではない(そのそも愛そのものが目に見えないとは思うんですが)写真なので自分では出来が不安だったのですが、それなりに好評だったようです。

演奏やデザイン以外の企画をどうするのか、ということもなかなか決まらずいにいたのですが、団員から「愛」についての写真を募り、それを写真展としてロビーに掲示、来客者に投票してもらうということとしました。テーマの愛をいろんな角度から見せることが出来、来場者が参加する企画にもなったことは非常に良かったです。

一方で、パンフレットは表紙、プログラム、曲目紹介、メンバー一覧、と最低限の4ページのみ。本来は愛についての企画ページを設けようとしていたのですが、最終的にはなくしました。というかそんな企画ページを作る時間がありませんでした。

制作の時間に充てる時間が取れなかった理由はいろいろありますが、最大の理由は事務局メンバーが不足していたこと。前回演奏会で事務局だったメンバーのうちの2人が様々な事情により参加不可能となり、そのほかの事務局メンバーも結婚や出産などで環境が変わったことで時間を作ることが難しくなり(そういえば事務局メンバーは私以外は全員既婚者となりました)、それでいて事務局メンバーの補充をしないまま演奏会練習シーズンに突入してしまい、立て直しを図る間もなく演奏会本番の期日が迫ってきたのです。

演奏会のアンコールがなかったのも実はそのせいで、一度決まりかけたアンコールを、テーマに合わないことから結局反故にしてしまう、という前代未聞の決断をせねばなりませんでした。楽団員の皆様に混乱をさせてしまったこと、お客様に演奏の余韻を楽しんでもらえないということは非常に申し訳なかったの思うのですが、「コンセプトファースト」というTHPOの肝心要を守り、演奏の質の最低限を確保するために苦渋の決断をしなければなりませんでした。

来場者数が522人、というのは前回の演奏会から比較すれば多いのですが、それでも1802人の客席数から比較すると寂しい印象を拭えません。それでいて受付スタッフはかなりてんてこ舞いの状況だったというのですから、いかに準備不足で本番を向けてしまったかが良くわかります。

そんなにいっぱいいっぱいの運営状況だったから、というのが言い訳になるかはわかりませんが、私が1stを担当した「ロメオとジュリエット」、ソロでめちゃくちゃ失敗しました。正直なところガラガラの客席を舞台上から眺めてしょんぼりしたり悩んだりしていたら、譜面上の音符がどんな運指だったか記憶が吹っ飛びました。失敗した直後に舞台上で倒れ込まないように姿勢を保つだけで精一杯でした。

打ち上げでのメンバーの楽しげな顔を思い出すと、演奏会としては良かったのかもしれません。しかし少なくとも運営面では非常にお多くの反省すべき点があります。しかし次回の演奏会はホールも日程も決まっていますし、今後の活動をするにあたって様々な見直しをしなくてはなりません。