悲愴をB4たかし的に解説すると オケ全体編

ファゴット編に続いておけ全体の解説も行ってしまいます。勿論ながらこの解説はB4たかしの独断と偏見でピックアップしているのでご了承を。

ちなみに『悲愴』(fr : Pathétique, Патетическая)というタイトルは、弟のモデストが「標題なら、『悲愴』はどうだろう」と提案したところ、ピョートル・イリイチが「ブラボー!」と採用した — という説があるらしいですが、どうやらそれは弟・モデストの創作であるようです。

また、ロシア語の「Патетическая」は「熱情」とかの意味があるから、いわゆる「悲愴」じゃないんだよ、という話もあるそうですが、チャイコフスキーの自筆譜の冒頭にフランス語の「Simphonie Pathétique」(Pathétiqueは悲愴と言う意味で良いらしい)とあることから、敢えてどちらの意味も持たせることにしたとかなんとか。

始めも終わりもコントラバス

コンバスで始まってコンバスで終わるなんて素敵な曲です。

From : ぼん @ 2008-07-12 01:33:53

こんなコメントが書かれたように、悲愴は最初はコントラバス、最後はコントラバスとチェロが音を弾きます。しかもどちらもdivisi。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]

それ以外に目立ったソロなどはコントラバスには無いけど、曲を通してかなり活躍しています。

ビオラ!ヴィオラ!微音等!


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

第1楽章の提示部第1主題のメロディはビオラ(初めて聴くとバイオリンに聞こえるけど)。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

エピソードと推移が終わり、第2主題が提示される直前もビオラ。ここも音だけ聴くとバイオリンにしか聞こえない。



[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]


展開部の第1部はヴィオラが上へ下への大騒ぎ。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

さりげなくVn. 1stと一緒に動く箇所が多いです。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第楽章]

第3楽章もヴィオラはずっと動いている感じ。まあ3楽章は弦のどのパートも忙しいですが。

クラリネットも大活躍


[チャイコフスキー 交響曲第6番 第1楽章 160小節目]

展開部直前、提示部の第2主題再現の後半のソロはクラリネット。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

再現部第2主題の後半部のソロもクラリネット。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第2楽章]

第2楽章終わりのソロもクラリネット。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第楽章]

第3楽章の行進曲の主部でのメロディもクラリネットのソリ。

というわけで、クラリネットはどの楽章もだいたいソロがあるくらい目立ってます。

激しく2×3


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

例えば第1楽章の提示部再現や、


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第楽章]

第3楽章は曲全体にわたって、

4拍子と3連符が混在している。前者は提示部をさらに魅力的なものにすることに効果的になっている。後者は・・・どうなってんだろう。

オクターブに厳しい



[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]


第4楽章で第2主題が2回目に出てくる時、メロディーはVn. 1stとVa.に加えVn. 2ndが入る。この時の2ndはdivisiである。何故かと言えば、いままでのメロディのオクターブバランスを崩さないためだと思われる。その証拠に、Vn. 1stのメロディがオクターブ上がる(Va.はそのまま)とVn. 2ndがユニゾンになる。ここからメロディは3オクターブで(ほぼ同じ音量ずつで)奏でられるのだ。



[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

1楽章でもおなじような箇所が出てくる。こちらはヴィオラがdivisiだが、やはりオクターブのバランスをとるためにしていると思われる。

そんなわけで、B4たかしなりに面白そうなところをピックアップしてみました。「銅鑼とトロンボーンのコラール」?「ホルンのゲシュトップ」?「他の木管のオイシいところ」?そこら辺は自分でググってね☆

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