悲愴をB4たかし的に解説すると ファゴット編

魔弾の射手もドボコンも解説したので、今度は悲愴を解説してみますか。とは言っても悲愴は面白いところがいっぱいあるので、まずファゴットだけに着目してみます。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

有名な冒頭、ファゴットのソロです。スコアのうち音符があるパートだけ抜き出してみました。

まず、冒頭がファゴット・コントラバス・ヴィオラと3パートしかありません。しかも弦はどちらもディビジ(2部ずつに分かれ)ていて、旋律的にも音域的にも音量的にも非常に暗い序章になっています。

ところで、この旋律はファゴットの中でおそらくもっとも低い音域のメロディだと思われます。Cb.の和音より低い音からメロディが始まるのもあまり例がないと思われます。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

提示部ではファゴットとフルートのメロディの掛け合いが。なぜかファゴットが先、しかもFg. 1st一人に対してFl. 1st & 2ndと倍の数と対抗しています。まあホルンが入っていたりいなかったりといろいろ違うのですが。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

提示部中間部でもフルートとの掛け合いが。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

そしてクラリネットとも掛け合いが。あれ、また?てかオーボエは?・・・というくらいファゴットが大活躍。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第1楽章]

そして続いてフルート×3とクラリネット×2との掛け合い。ちなみにファゴットは2人しかいなくて、また不利な力関係ですが気にしない。

ま、ファゴットが埋もれるなんてことはないので、チャイコフスキーはバランスを考えてこうしたんですね。

ちなみにオーボエはとうとうこのメロディーを吹けませんでしたが、このあとのメロディはちゃんとやっているので。さぼっているわけじゃないですよ。

第1楽章でファゴットに注目すべき箇所はこのくらい。第1楽章は1stが大活躍というかんじ。展開部(161小節〜、Allegro vivo)以降はオケでまとめてひっちゃかめっちゃかやっているので割愛。

あとファゴットが激しく目立つのは4楽章ですね。別に第2楽章と第3楽章すっ飛ばしたのは面倒だから、ってわけじゃないよ!


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]

弦部でのメロディの後ろから、フルートとともに対声部を奏でています。ちなみに「フルートと共に」というのは、フルートと全く同じ音(オクターブまで!)です。つまり、フルートにしてみれば低い音域、ファゴットにしてみれば高い音域を束ねているわけで、この楽器の選択が、弦が交互に弾いている旋律と合わせて不安定さを作り出しているわけです。


[チャイコフスキー 交響曲第6番『悲愴』 第4楽章]

ちなみにこの直後にまた提示される第1主題の対声部はファゴットのみ。ちなみに最初の対声部での最高音はC♯5、次に現れるこの対声部での最低音はC2。この短い時間の中で実に3オクターブ強音域が変化しています。ちなみに第3楽章の直後と言う事もあり、ファゴット奏者はめっちゃ疲れます。