ニセ科学、WESはとんでもない永久機関だ

以前絹川愛選手が未知のウイルスにかかったことを伝えたけれど、治療に当たっている松元整形外科クリニックの松元司院長について調べたところ、どうやら記事の信憑性がかなり怪しいらしい。・・・というか、ガセ? 以下の記事に詳しく書かれているが、要するに自分は激しく釣られてしまったということのようだ。

ちょっと調べれば、「整形外科なのに血液検査?」とか「未知のウイルスって何だよ?」とか突っ込めたはずなのに、スポーツ報知の記事を鵜呑みにしてしまった自分を反省。ちゃんとググりましょう。

マス・メディアに限らず、学会誌に掲載された論文だって、実は如何わしいものが多いんです。研究室の輪講で出てきたので一番驚いたのは、『マニュアルのモザイキング方法』とかいうタイトルの論文。「モザイキング」とは、複数の低解像度の画像を組み合わせて1枚の高解像度の画像を生成する方法のことです。で、この論文では、Adobe Photoshop™を使って、本当に手動で画像を組み合わせる方法を紹介してました。おもわずその場で吹き出しそうになってしまいましたが、掲載される雑誌によってはそんな研究内容でも通過してしまうんです。

学術論文誌や科学雑誌にも掲載されてない新理論なんて、そりゃーもう怪しいこと間違い無し。先日発表されたらしい、WESについてはまさにそう。

株式会社ジェネパックスが、「ウォーターエネルギーシステム (Water Energy System)」なるシステムを作ることに成功し、去る6月12日に大阪府の議員会館で説明会が行われたそうです。ギガジンにその模様が詳しく書かれていますが、どうみても、

  • H20 (l) + 286kJ = H2 (g) + 0.5 O2 (g)

という熱化学方程式を破っています。触媒を使おうが何を使おうが、1molの水を水素と酸素に分解するには286kJが必要、逆に1molの水素と0.5molの酸素を結合させれば、1molの水と286kJのエネルギーが得られるわけです(燃料電池ではこれを電気として取り出しています)。というわけで、何もないところから電気を取り出してるこのシステムは永久機関と言えます。

どう見てもこれはニセ科学です。本当にありがとうございました

核分裂反応とかがおきていれば上の方程式を破れそうだけど、そんなの使ってないしね。

しかしこのシステム、日経BP社のサイトやテレ東の番組でも紹介されていたらしい。パッと見は「究極のエコシステムだ!すげーや」って感じに肯定的。騙されている人が少なからず居るのか・・・?

今回の発表会が、会社ではなく議員会館というなんか威厳のありそうな場所で行われているのも、このシステムの信憑性をあげている要因の一つでしょうか。丸紅関連の事件もあったし、発表の場が良いからといって会社の事業が良いとは限らない、はずなのになあ。

Facebook にシェア
LINEで送る
Pocket