音楽は困難を越えて(演奏会前日に楽器がぶっ壊れた) – ジルコン#02

イベントを完遂させるために、参加メンバー、運営メンバーは様々な困難を乗り越える必要があります。特に今の時期は、新型コロナウイルス感染症のために、様々な規制や制限が課されます。5月4日は東京都に非常事態宣言が発令されている最中、演奏会の中止も危ぶまれました(都区内のホールは軒並み閉館となったようでした)が、オーケストラ・ジルコンの演奏会はなんとか演奏が開催できることとなりました。

そんなウイルス対策で運営陣が頑張っている一方、私は別の困難に直面していました。本番前日にコントラファゴットが壊れて、一部の音が出なくなってしまったのでした。

オーケストラ・ジルコン 第2回演奏会

オーケストラ・ジルコン 第2回演奏会フライヤー
オーケストラ・ジルコン 第2回演奏会フライヤー
日時
20215月4日(火・祝) 開場13:00 開演13:30
会場
武蔵野市民文化会館 大ホール

  • JR 三鷹駅北口より 徒歩13分
  • JR 三鷹駅北口より 関東バス [鷹01][鷹02][鷹03][鷹04][鷹10][鷹11][鷹13][鷹15] 市民文化会館入口下車 徒歩2分
  • JR・京王 吉祥寺駅北口より バス
曲目
ジョルジュ・ビゼー / 交響曲ハ長調

Georges Bizet / Symphonie en Ut majeur
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン / 交響曲第2番 ニ長調 作品36

Ludwig van Beethoven / Sinfonie Nr. 3 in D-Dur, op. 36
ヨハネス・ブラームス / 交響曲第3番 ヘ長調

Johannes Brahms / Sinfonie Nr. 3 in F-Dur
アンコール : ヨハネス・ブラームス / ハンガリー舞曲 WoO.1より 第4番ヘ短調

Johannes Brahms / Ungarische Tänze Nr. 4
指揮
小久保大輔
入場料
入場無料・全席自由

5年前にJWFCフィルムハーモニック管弦楽団 (スターウォーズ全曲公演)で共演していた人たちが出演していて、それが縁で呼ばれることとなりました(他の構成メンバーはニューシティオーケストラ東大フィル・グラデュエイト・オーケストララスベート交響楽団の団員が多かったようです)。

当初はコントラファゴットでブラームス交響曲第3番のみの出演予定だったのですが、諸事情によりビゼーとベートーヴェンの乗り番が1つずつ空くこととなってしまいました。なかなか演奏することのできないベートーヴェンの1stパートを、THPOで2度お世話になっている小久保大輔先生の指揮であれば、是が非でもこの機会を逃さない手はありません。ヒネモスで1ヶ月前に舞台に乗ったばかりの武蔵野市民文化会館、ということも縁を感じました。

全曲乗り、しかも1つはベートーヴェンということで簡単ではないプログラムですが、周りの奏者ともちゃんとアンサンブルでき、曲の方はなんとか仕上がってきました。

本番前日の練習、つまり上記ツイートの練習会場での合奏を終えて、楽器を片付けるときに事件が起きました。ファゴットの楽器ケースを引っ張ったときにコントラファゴットのスタンドを引っ掛けて倒してしまったのです。当たりどころが悪く、最低音のローB♭やローHが出なくなってしまったのです。

キーが曲がってしまっているのでホールを塞げなくなった、と理由は一目瞭然です。逆に言えば他の音域は無事なので、最低音域がでなくても演奏に支障がなければ、とりあえず翌日の演奏は乗り切れるのですが――

ブラームス 交響曲第3番 コントラファゴット 譜面1ページ
ブラームス 交響曲第3番 コントラファゴット 譜面1ページ

いやダメだ。めちゃくちゃ曲の冒頭にローB♭出てくる。この曲チューバもないから本当にオーケストラの最低音域支えてるわ。乗り切れないじゃん。

とにかく楽器を抱えて楽器屋に駆け込むも、複数の箇所が曲がっていてすぐに対処は不可能、しかもキーだけでなく楽器のベルを支えるロッドも曲がっていて、少なくとも1ヶ月は修理に期間がかかるということでした。

もはや万事休すか――というところでしたが、実は今回の奏者の一人がコントラファゴットを所有していて(運搬する車は所有しておらず、今回運営に集中のため並ファゴットのみの出演になっていた)、その方のコントラファゴットを急遽貸し出してもらうことに。なんとか演奏を挙行できる条件が整いました。

何かあると写真付きでツイートするのが最近の私なのですが、この頃はショックすぎで、これらのツイートをするのがやっとでした。相当に焦っていたことを伺わせます。そりゃそうだ。

そんなわけで、このツイートの写真に載っているコントラファゴットは他の方から借りた楽器だったのでした。本番前日にそんな大事件を引き起こしていた、ということはそのメンバーしか知らなかったはずなので、他の奏者や指揮者、もちろん聴衆の方にはたぶん気付かれていなかった、はず。

演奏の質向上に集中できる状態ではなかったためか、本番当日のことはあまり良く覚えていないです(ベートーヴェンの冒頭で盛大に音を3度間違えたのは覚えています)が、とりあえず演奏会を終了することができました。借りたコントラファゴットは、メーカーが違うために指のポジションも違うように取らねばならず(右手を固定するハンドレストがないタイプだったので楽器を抑えることからイッパイイッパイ)、特に早いパッセージの箇所では、100%の力を発揮して演奏したとはとても言えない状態だったと思います。ただし楽器の放つ安定した低音は抜群によく、ホール全体を響かせることができたのではないかと思います。

名誉なことに、演奏終了後に各パートトップを指揮者に立たせてもらうところ、(ファゴットパートでまとめて、ではなく)コントラファゴット単体で起立させてもらいました。しかしどう考えても楽器が良かったためにいい音が出ただけで、決して私の演奏の腕が良かったわけではないと思います。

いろんな困難を乗り越えた演奏会、私は余計な困難を乗り越えざるを得なかった演奏会となりました。なお私のコントラファゴットは1ヶ月半後、無事に治った姿で手元に戻ってきました。

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