スター・ウォーズはオーケストラ楽曲も名作だった – JWFCオケ公演終わりました

11月3日は、私が出演するJWFCフィルムハーモニック管弦楽団の演奏会がありました。

JWFC フィルムハーモニック管弦楽団 特別演奏会 スターウォーズ・フィルム・スペクタキュラー
スターウォーズ・Ep7公開記念 ジョン・ウィリアムズの世界2

JWFC フィルムハーモニック管弦楽団 特別演奏会 スターウォーズ・フィルム・スペクタキュラー チラシ
JWFC フィルムハーモニック管弦楽団 特別演奏会 スターウォーズ・フィルム・スペクタキュラー チラシ
日時
2015年11月3日(火・祝) 13:30開演
会場
ティアラこうとう 大ホール
曲目
  • 20世紀フォックス・ファンファーレアルフレッド・ニューマン / Bassoon 1st
  • 酒場のバンド
  • エピソード4/ 新たなる希望
    • メイン・タイトル
    • 王女レイアのテーマ
    • 砂漠のジャワズ
    • ヒア・ゼイ・カム
  • エピソード5/ 帝国の逆襲
    • ハン・ソロと王女
    • 小惑星の原野
    • ヨーダのテーマ
    • 帝国のマーチ(ダースベイダーのテーマ)
  • エピソード6/ ジェダイの帰還
    • イウォーク族のパレード
    • ジャバ・ザ・ハット
    • ルークとレイア
    • 森林での戦い
  • エピソード1/ ファントム・メナス
    • フラッグ・パレード
    • アナキンのテーマ
    • ジャージャーの冒険
    • 運命の闘い
  • エピソード2/ クローンの攻撃
    • アクロス・ザ・スターズ
  • エピソード3/ シスの復讐
    • シスの復讐
    • 新たなる希望
    • 英雄たちの闘い
  • アンコール:
    • ダースベイダーの死
    • 王座の間とエンド・タイトル
指揮
山下伸介
管弦楽
JWFCフィルムハーモニック管弦楽団
音楽アドバイザー
戸田信子
監修・司会
神尾保行
主催
JWFC(ジョン・ウィリアムズ・ファンクラブ)
協賛
フォックスプランニング
後援
FILM SCORE LCC

上記の曲目は演奏順に、過去の曲目一覧は譜面の種類別に並べてみました。

JWFCは、ジュラシックパークやインディー・ジョーンズ、E.T.など映画音楽の作曲家であるジョン・ウィリアムズの世界唯一の本人公認ファンクラブ。JWFCフィルムハーモニック管弦楽団は、その団体が主催となる演奏会を演奏するために、Flamingo Apartment Orchestraのメンバーが中心となって結成されたそうです。

「ファゴットパートは何人かいるんだけどコントラファゴットがないから出て!」ということで呼ばれて出演することになりました。劇伴の曲をオーケストラで演奏するのは「魔法少女まどか☆マギカ」を演奏したワル饗(2013東京2015関西)ですか。

「スターウォーズ」といえば、このメインテーマとか、ダースベイダーのテーマとか、とにかく金管がバンバン吹きまくる曲で、ファゴットはそんなに目立たないんじゃないかな、と思ってたんです、練習に出るまでは。

金管楽器が活躍する曲は確かに多いんですが、ファゴットもそこそこ目立つ曲が多かったです。木管のほかのパートとの掛け合い、というパターンが多いですが、ファゴットの1st、2nd、3rdが揃って(しかしそれぞれ違う音を吹いている)演奏している、という曲もありました。「ジャージャーの冒険」です。コントラファゴットの持ち替えでファゴット3rdを吹きました。

(上記動画の50分37秒あたりからファゴット3本のソリ箇所です。)

ジャージャーの冒険の3rdファゴットは、むしろ音が低い分だけほかよりも難しいかも。毎回の練習で緊張するのはこの曲ぐらいでしたが、メインテーマや運命の闘いなど、演奏が困難な箇所が多くありました。結構さらうのが大変でした。

コントラファゴットを担当することで面白いと思ったのは、例えば「Star Wars Suite for Orchestra」の曲はファゴットが1stと2ndで2管編成ですが、「Star Wars The Phantom Menace」はファゴット1stと2ndと、コントラファゴット⇔3rd持ち替え、と3管編成になっていること。譜面に書かれている年代から前者は第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の公開された1977年に出版、後者は『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が公開された1999年に出版です。スターウォーズの実績のない頃は編成を大きく出来ないために2管編成、新3作の制作の頃は周囲からの期待も高くオーケストラの編成を大きくして3管編成にしたのではないか、と考えられないでしょうか。

ちなみにファゴットとコントラファゴットの持ち替えを曲中で何回か指示されている曲がありました。「運命の闘い」「英雄たちの闘い」「アクロス・ザ・スターズ」は複数回の持ち替えを、しかも数小節という僅かな時間で要求していたため、スムーズな楽器交換のため相互の楽器配置までよく考えねばなりませんでした。ちなみにリハーサルで前列のオーボエパートの人に「あんなに忙しく持ち替えするんだねー」と言われました。後のほうでドタバタしてしまってすいません。

JWFC FhO スター・ウォーズ 練習風景
JWFC FhO スター・ウォーズ 練習風景

私をこのオケに呼んだ人を除き、オーケストラ参加者のほとんどの人は私のしらない人ばかりでしたが、非常に楽しく演奏することが出来ました。各メンバー個々人の技量が非常に高いことに、練習の時から驚いていました。倍管にしていることもあるでしょうが、金管の迫力が、通しリハをしても衰えないというのは素晴らしいと思いました。弦楽器や木管楽器の人も、細かい動きは精緻に、聴かせるメロディはちゃんと熱のこもった演奏を披露しているのです。「スター・ウォーズが好きだ!」という想いがみなさんあってこのオケに参加している、という意識の高さも演奏の質を押し上げていたのではないかと思います。

初対面の人ばかりのオケでしたが、管楽器トレーナー(そして紆余曲折あって本番のタクトも振ることになった)山下先生とこんなところで再び遭遇するとは思いませんでした(THPO第9回第10回第12回演奏会でお世話になりました)。マエストロの情熱的で時に激しく、時にロマンチックな指揮は、スター・ウォーズの曲でも非常に良かったです。

演奏会のチケットは7月の時点で一般販売分が売り切れという盛況ぶりで(主催団体が追加公演を検討したほど)、満員のお客様はその多くがやはりスター・ウォーズファンだったようです(舞台からでもスター・ウォーズ関連のシャツやコスチュームをしている人を複数確認できました)。司会が複数回も衣装変更するとかいろんな出来事がありましたが、演奏者としては非常に良い演奏会になったのではないかと思っています。その思いはお客さまの多くもそうだったようで、アンコールのエンドタイトル演奏後はスタンディング・オベーションが、しかも客席の多くの場所で発生しました。「客席満員、スタンディング・オベーション」という体験は、ワル響八王子公演以来2度目。演奏技術もそうですが、舞台と客席が一体となった演奏会となったからこそ発生した現象だと思います。

JWFCが今後演奏会を企画するかは未定ですが(噂ではハリー・ポッターの曲の演奏を企画中とか…)、ジョン・ウィリアムズの楽曲の良さ(特にオーケストレーションの巧みさは、映画音楽の劇伴という先入観を打ち破るほど)、メンバー同士の繋がりは、今回だけの参加では勿体無いと思えるほど。またどこかで機会があればやってみたいです。

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