2011年2月14日追記:この記事は、2002年から2005年にかけて在校していた頃の学校について、2008年に回顧して執筆したものです。書かれた文章の正確性については万全を期したつもりではありますが、全て6年以上も前の事柄であり、現状とは異なる内容が含まれる場合が大いにあります。最新の情報については、学校にお問い合わせください。
管理人・B4たかしは、記事の内容について一切の責任を負いません。
前回は東工大附属高校の雰囲気などをお伝えしましたが、今回は科目にも触れてみます。SSH調査票と同封されていた高校からの手紙に、「SSHの関係科目一覧」が載っていたので、まずはそれに沿って振り返ってみましょう。
学年 科目名 内容 第1学年 数理基礎↓
- 式の計算
- 指数の計算
- 有効数字
- ギリシャ文字と単位
- 三角比
- ベクトルの計算
- 常用対数の計算
- 三角関数
- 式とグラフ 等
科学技術基礎↓
- 力学分野 メカニズム模型の設計と製作等
- 電気分野 電流を分ける等
- 化学分野 塩化銅(II )の化学式の決定等
- 製図分野 相貫体模型を作る等
人と技術↓
- ロボット
- 電力
- 都市
- 環境と人間
- 技術者倫理
- 情報モラル 等
第2学年 科学技術↓ 第1学年で学習した「科学技術基礎」を踏まえ,科学技術の各専門分野に置ける技術を実験。つくばの研究施設見学など
- 新幹線のノーズ部の空力特性 等
- 自分で調べて発表しよう DVD制作 等
- 論理と組み合わせ論理回路 ライントレーサの制御 等
- 定性分析実験 定量分析実験 有機化学実験 等
- 空間図形の切断 つぶれない形 波の造形 等
先端科学技術入門↓ 東京工業大学の先生が来て6つのテーマで授業をした
- 各専門分野に置ける工業技術及び科学技術
- 先端科学技術の研究内容・研究成果 課題レポート
- 具体的事例に深く関係する理科・数学 小テスト
- 科学技術経営後文献を用いた技術系英語 和訳課題
第3学年 課題研究↓ 生徒自身でテーマを決め半年かけて研究する。その成果を発表したり、コンテストに参加したりした。 その他 数理応用↓ ピンク色の本を配布して数学II・B、数学IIIなどの副教材にしたり、補講期間中に「数理応用特別講義」等希望者対象に行った。 衛星授業↓ 東工大の学部の授業を衛生授業で受講
「競争とゲームの理論」「化学第二」「基礎生物学A」等東工大附からの調査協力のお願い より
数理基礎 ↑
高校が独自に作成した教科書を使用した。
内容としては通常の数学(I,II,III,A,B,C)で教わる項目を部分的に先取りするかんじ。ただ、数学そのままでなく、それが工学でどう応用されるか等も合わせて教わった。
例えば式の計算で分数式がでてくれば電気回路の合成抵抗を例にしたり、対数を習ったらそのまま水素イオン濃度の計算をしたり。ラジアンも数理基礎で習ったため、数学(IIかな?)の授業ではとばしていました。
科学技術基礎 ↑
科学技術基礎、通称:科技礎(かぎそ)は、高校独自の教科書を用い、実習や実験を通して、理科(特に物理や化学)と科学技術の関連などを学ぶ、工業高校である東工大附属高校ならではの授業。上記表では4分野に分かれていますが、実際には5つの学科教員と理科教員の6グループの担当教員たちが順番に授業を行います。
- 機械
- 建築
- 電気
- 電子
- 工業化学
- 理科 (物理・化学)
科学技術の基礎を学ぶだけでなく、2年次以降の学科所属のための判断材料にもなる大切な授業です。
人と技術 ↑
人と技術、通称:人技(ひとぎ)も、高校が制作した独自の教科書を使った授業。
ただし、時代の移り変わりとともに教科書の内容が古くなったりしたので、教科書の内容からはずれて教員独自の話題をすることもしばしば。というか教員の話が暴走してしまって教科書を使わなくなった、というほうがあたっているかも。
科学技術の発展が環境にどのような影響を及ぼすか、とか、高度情報社会とその弊害とか、文理融合的な授業。先生の独壇場になってしまいがちなのもうなづけます。
科学技術 ↑
「科学技術」は学科により内容が異なる。「科学技術 I」が機械科の内容で、電気科がII、電子化がIII、工業科学科がIX、建築科がX。勿論教科書も学科により中身は全く違う。機械科で言うと、今までの「原動機」という科目を発展させた、というほうがしっくりくる。
で、機械科の「科学技術 I」の内容は、大きく分けて熱力学と流体力学に分かれる。クラスを半分にして交互に熱・流体の分野について教わった。流体ではトリチェリの定理を学び、どの生徒の羽根が最も効率が良いかを競う「タービンデザインコンテスト」などを行った。熱では蒸気機関に付いて学び、ポンポン船を制作したりした。
先端科学技術入門 ↑
先端科学技術入門、通称:先端(せんたん)は、SSHに認定されてから設置された科目で、2003年度から開講されたできたてほやほやの科目だ。
4週にわたって、東工大の教授を呼んで1つの分野について教わる。上記に挙げた事柄を行うのだが、課題レポートや小テスト、和訳にしても大学レベルの問題が出されてくるので、結構大変だった記憶が。まさに先端を学んでいたんですね。
課題研究 ↑
課題研究は、高校3年間で学んだことを活かして研究・発表する、集大成とも言える授業。
機械科の場合は、大抵2〜3人で1つの研究をする。自分の場合は「シーケンス制御による吹奏楽器自動演奏ロボット」。リコーダー演奏ロボット(というよりはただの機械だけれど)の制作やトランペット演奏ロボットの制作(をしようとした)とか。
コンテストでは、自分のリコーダー演奏ロボットは『第11回全国高等学校理科・化学クラブ研究論文』(主催:工学院大学)に応募し、努力賞を獲得しています(あまり威張れませんが)。工業科学科では学会に論文を発表したグループもあったっけ。
数理応用 ↑
数理応用の教科書は、高校が独自に教材を作成した教科書(上で言われているピンクの本)の中で最も力を入れて作った教材だ。平成14年から試作版を刊行し、平成16年度配布版で完成した(その後も加筆・修正は行っているようですが)。
- 微分入門
- 積分入門
- ベクトルの利用
- いろいろな関数とその性質
- 数列と行列
- 複素数入門
- いろいろな関数の微分
- いろいろな関数の積分
- 微分方程式入門
- 多変数関数と微分
- ベクトル解析入門
- 複素解析入門
上が教科書の章のタイトル。数学IIで教わる微分から大学レベルの複素解析まで、むちゃくちゃ幅広くカバーしている。カバーしすぎて、最終的には厚さ3cm、本文だけで530ページ(他に課題の略解が附属)というでかさに。A5判なのに、ショッキングピンク色の表紙と相まってかなり存在感のある教科書でした。
教科書に載っている全てのことを習うことは稀で、自分は補講期間などに最少二乗法などを習うのに使いました。あと大学に推薦で内定している人向けに3学年3学期に開講された「さきがけ補講」の教材として使っていました。
おもに作った(そして使った)のが東工大附属高校出身(確か)で東工大で教員免許を取得した東工大附属高校の教員で、東京工業大学の名誉教授やらが助言しただけあって内容は充実していました。というか自分にとっても現在も使える内容がたっぷり。実際に東工大の周りの友人に譲ってくれと頼まれたことも:-)。
(1) 学校の雰囲気とか
(2) SSH科目
(3) いろんな授業