宮城県山元町へ、東北復興支援ボランティアに行ってきた

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

3月22日から24日まで、大学生活最後の春休みを活用して、東日本大震災で津波の被害を受けた被災地の復興支援ボランティアに行って来ました。

メンバーは同じ研究室の3名、今回はアミーファクト社の以下のツアーを利用して、宮城県亘理郡山元町の畑内のがれき撤去を行いました。

ツアーは22日夜に東京駅・新宿駅・池袋駅・さいたま新都心駅の各地でバスに乗り、車中泊をした後にサービスエリアもしくはコンビニ休憩中に作業着・長靴に着替え、23日と24日の日中にボランティア作業を行う流れ。23日から24日にかけての泊まりは旅館に泊まり、24日の夜中に東京都内に帰還する、という2泊3日のツアーです。

ローソン 山元町高瀬店
ローソン 山元町高瀬店

ローソン 山元町高瀬店 駐車場
ローソン 山元町高瀬店 駐車場

ローソン 山元町高瀬店 震災被害の写真・地図
ローソン 山元町高瀬店 震災被害の写真・地図

23日の朝に立ち寄ったコンビニエンスストア、ローソン山元町高瀬店は、店舗自体は被災しなかったものの店裏の崖が崩れ、現在もブルーシートで被ったままの状態でした。店に貼られていた被害状況の写真から、店の一歩手前まで津波が押し寄せたことを知りました。

宮城県亘理郡山元町 町役場
宮城県亘理郡山元町 町役場

JR常磐線 列車代行バス
JR常磐線 列車代行バス

JR常磐線 列車代行バス 山下駅
JR常磐線 列車代行バス 山下駅

ボランティア活動を行う前に立ち寄った山元町社会福祉協議会(山元町ボランティアセンター)の建物は山元町役場に隣接しています。その山元町役場の玄関からJRのバスが発着していました。JR常磐線が未だ復旧していないため、山下駅がこの役場前に移動してきた格好です。

山元町社会福祉協議会
山元町社会福祉協議会

亘理郡山元町役場の隣にある山元町社会福祉協議会・山元町ボランティアセンターの建物です。ここで貸出物などを借り、トイレを済ませて実際に活動を行う現場に向かいます。

役場からバスで10分ほど進んだ所でバスを降り、目的の畑に向かいます。

山元町 がれき撤去作業現場周辺
山元町 がれき撤去作業現場周辺

山元町 がれき撤去作業現場
山元町 がれき撤去作業現場

今回作業を行うのは元は苺畑だったそうです。苺のビニールハウスを一刻も早く復旧して農業活動を始められる体制にするため、そして助成金などの事務手続きの期限の関係から、今回のツアー日程では2日間ともこの畑のガレキ撤去作業を行うこととなりました。

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

作業内容は、スコップで畑を掘り起こして、出てきたゴミを回収する。文章にすると単純ですが、広い敷地の土壌をくまなく掘り返すのは骨が折れる作業です。

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

畑をざっと見るかぎりは普通に見えますが、ちょっと掘り起こすとだいたい何か出てきます。この写真ではビニールハウスを支えていた骨組みが出てきました。

この他にも木材やビニール、写真や衣類なども出てきました。大きいものだと電信柱などという巨大なものも!十数人で一斉に別の場所に運び出していました。隣のチームではテトラポットなども搬出されていたようです。

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

山元町 がれき撤去作業 ゴミの分別
山元町 がれき撤去作業 ゴミの分別

出てきたゴミは、燃えるゴミ・燃えないゴミ・ビニール類・石もしくは陶器類・木材など、大まかに分類して土嚢袋に詰め込みます。

山元町 がれき撤去作業 畑の土
山元町 がれき撤去作業 畑の土

山元町 がれき撤去作業 瓦礫と付着した砂
山元町 がれき撤去作業 瓦礫と付着した砂

地表から数十cmは砂を多く含み、その下の固い土との境目から瓦礫が出土することが多かったです。地表の砂は、この土地が津波にさらわれた時に海岸から運ばれてきた海砂でしょうか。瓦礫を取り除いた後に、今度は塩害が残っているのではないか心配です。

がれき撤去作業の現場周辺にはトイレなど有りません。数時間も作業するとどうしてもトイレに行きたくなるため、マイクロバスなどで、トイレのあるJR山下駅前まで輸送してもらいました。

JR常磐線 山下駅 駅舎
JR常磐線 山下駅 駅舎

JR山下駅 公衆便所
JR山下駅 公衆便所

常磐線は止まっているため、駅前といっても山下駅は営業していません。線路は錆び付いていました。ちなみに駅前後の線路は剥がされているそうです。ただ幸いにも駅舎横の公衆トイレは下水が動作していました。

JR山下駅 駅前商店
JR山下駅 駅前商店

JR山下駅前 看板
JR山下駅前 看板

JR山下駅前 看板とアンケートボックス
JR山下駅前 看板とアンケートボックス

駅前の商店、電気が通じ、どうやら営業しているようです。それにしても駅前の看板類、何か鬼気迫るものを感じて怖いです…。

トイレの行き帰りや現場への往復の途中、津波の被害を直に受けた地域を通り過ぎました。

山元町 津波被災地
山元町 津波被災地

山元町 津波被災地
山元町 津波被災地

家屋に大きく空いた穴、傾いた屋根、むき出しの柱ーーこれらを見て津波の被害の大きさを感じてしまいそうです。

でも実際には違う、それらの家屋は、まだ被害の小さい方です。

山元町 津波被災地 土台だけの家屋
山元町 津波被災地 土台だけの家屋

山元町 津波被災地 土台だけの家屋と重機
山元町 津波被災地 土台だけの家屋と重機

もっと津波の影響を受けた家屋は、家丸ごと流され、土台だけになっているからです。やけにこの地域の見通しが良いのは、田舎だからではありません、視界を遮るもの全てを津波が攫ってしまったからだ、ということに、車窓の地表近くに視線を落として、改めて気付かされました。

山元町 津波被災地 コンビニエンスストア
山元町 津波被災地 コンビニエンスストア

この家屋は元はセブン-イレブンだったそうですが、津波で柱以外はほとんど流されてしまいほとんど原型を残していません。

山元町 津波被災地
山元町 津波被災地

流されずに残ったのは、家のお風呂でしょうか。他のすべてが流されてしまい、寂寥感が増してきます。

さてボランティア活動のほうですが、4時間ずつを2日間、アミー号のバス2台分(約40人×2)のメンバーで畑の一区画の瓦礫を取り除きました。「一日4時間じゃ短いじゃないか」と思われるかもしれません(実際、自分も作業をはじめるまではそう思っていました)が、普段運動をほとんどしないような自分にはこれぐらいが丁度よいと思われました。まだまだ寒い気候の下で作業するのは大変ですし、慣れない作業で疲労もたまります。

山元町 がれき撤去作業 現場
山元町 がれき撤去作業 現場

のべ80人が作業して一区画、数十m×数十m(1000平米ほど?)を作業し終えました。

今回のボランティア作業を通じて、海岸線にうず高く積み上げられた瓦礫を見て「まだまだ復旧が進んでいない、復興なんてもってのほかだ」と思いました。震災から一年、ようやく瓦礫の処理を受け入れる自治体が現れたようでは、被災地の瓦礫を全て処理し終えるのに数十年も掛かるでしょう。

そして、実際に手足を使って作業をして感じたのは「でも、復旧・復興には膨大な時間がかかってしまう」ということです。今回の作業でも、80人が一斉に作業して、ようやく畑の一区画、瓦礫を取り除いただけです。まだまだ地中に瓦礫の残ったままである田畑がたくさんあるはずですが、これをすべて取り除くには人出が圧倒的に不足しています。重機を使って一気に作業したいものですが、埋まっている瓦礫は大小様々でなかなか対応できません。やはり人力で行うのが一番ですが、全ての被災した土地を作業するには、今回の津波の被害は大きすぎます。

山元町 がれき撤去作業
山元町 がれき撤去作業

でも、どんなに歩みは小さくとも、少しずつ復興は成し遂げられます。今回がれき撤去を行った畑は、最終的に社会福祉協議会の方々で小さいゴミが取り除かれた後、重機によって土壌を均され、畑として蘇ります。事実、隣の区画の畑は作業が終わったのか、早くもビニールハウスの骨組みが組み立てられ始めていました。この春からすぐさま営農を続けられそうで何よりです。

あと感じたのは、このツアーに参加している人たちがみんな優しいということでしょうか。年齢も下は高校生から上は会社をリタイアした方まで様々、参加した切っ掛けも大学生活最後の思い出作りとか(これが私)、浪人決定の記念にするなど十人十色。でも皆話してみると面白い方々ばかりで、ボランティア作業中も非常に良い雰囲気で作業できました。また2日目の夜には、旅館で懇親会が開かれ、よりいっそう仲を強めることができました。メンバー同士でfacebookの登録合戦が起きたのは面白かったなあ。

4月から社会人となる自分は、今後こういったボランティア作業に直接参加する機会は減ってしまうと思いますが、それでもボランティア作業の重要さ、そしてそこに集う人々の心の暖かさを感じることができました。今後とも何らかの形で、東北の復興作業に従事できればいいと考えています。

松島町 新富亭
松島町 新富亭

ちなみにこのボランティアツアー、がれき撤去以外の時間はほとんどがバス移動か旅館で過ごす時間でした。泊まったのは松島町にある新富亭というホテルで、露天もある温泉付きの宿でした。料理も美味しかったですし、ちょっと旅行のついでにボランティア、というのも悪くないと思います。

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