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ほかにはない情報が、ここにはある(かも)。

大岡山北地区に建設予定の「エネルギー環境イノベーション棟」ってなんだ?

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前回の記事の地図を眺めていたところ、あることに気づきました。

[東京工業大学大岡山北地区] 大岡山北1号館・北2号館の目の前に、「[未完]エネルギー環境イノベーション棟」とあります。自動車部車庫の目の前でもあり、このスペースには現在は自動車部のコースがあるはずなのですが・・・。

調べてみたところ、日刊工業新聞の記事が見つかりました。

東工大、環境・エネ関連の教員ら集約し全学横断組織立ち上げ

東京工業大学は約200人におよぶ環境・エネルギー関連の教員らを集め、研究の相乗効果を引き出す「環境エネルギー機構(仮称)」を11月に立ち上げる。東工大は太陽電池、燃料電池で過去10年の論文数が日本の研究機関でトップだが、研究者が部局・キャンパスに分散している。またこの分野は社会状況や資源価格でニーズが変動する。そのため、フレキシブルな全学横断組織で、産学連携や大学院生教育を進めるのが効果的と判断した。本拠地として新設する「エネルギー環境イノベーション棟」は、最新の太陽電池パネルで屋根・外壁全体を覆う。日本の理工系トップ大学を象徴する建物となりそうだ。

環境エネルギー機構は全学から材料、電気・電子、機械、バイオ、社会理工学など異分野の教員を集めるため、産学連携プロジェクトの提案や外部資金の獲得が進むとみられる。大学院生は大部屋で議論し、複数教員の指導を受け、効果的な人材育成が期待される。

(掲載日 2009年06月19日)

東工大のウェブサイトを調べたところ、研究所・図書館等のページの下部に、確かに環境エネルギー機構の文字が。ウェブサイトはまだ立ち上がっていないようですが、既に組織としてスタートを切ったようです。

さらによく調べたら、学長の平成22年年頭挨拶でも環境エネルギー機構について触れていました。

新年のごあいさつ

5. 東工大のこれから

これから始まろうとする厳しい時代を乗り越えるため、東工大の強みをバネに飛翔を図ります。新しい図書館の建設が始まりました。大岡山の正門を入った目の前に、2010年度には出来上がる予定です。また、すずかけ台の産学共同研究棟(J3棟)も工事に入ります。横断的教育研究組織として、情報系教育研究機構と環境エネルギー機構が誕生しました。大学院や研究所を超えて差し迫る重要問題の解決にあたります。エネルギーイノベーションを主として行う新棟の建設も始まります。グローバルCOEは2009年度には9チームが活動しています。5年間のスーパーCOEである統合研究院も最終年度を迎え、次年度からは、附置研究所群が受け継ぎます。培ってきたソリューション研究が一つのポイントです。先の紹介した東工大蔵前会館には、ソリューション研究の一つである先進エネルギーシステム(AES)の試行実験が動いています。それに、温暖化ガス25%の削減に対する東工大の取り組みを示す必要があります。環境エネルギー機構が解を出すでしょう。大学院教育システムの改革、財務会計システムの改善、経営の安定化など、乗り越えなければならない壁が待っています。創立130周年を起点に「東工大ビジョン2009+東工大130」のキーワードをもって本学の発展に期待いただきたいところです。そこには、構成員全員の、そして東工大を支えていただく社会の皆様のご支援とご協力がどうしても必要です。東工大は、世界から信頼される素晴らしい大学として貢献します。

東工大が環境エネルギーに対してかなり真剣に取り組みを始めた・・・のはわかったけど、「エネルギー環境イノベーション棟」って結局どんなんだ?とさらに調べたところ、日経BP社のサイトでHigh Ecology Low Carbon 創エネ住宅の時代へというページで、東工大の柏木孝夫教授が連載している記事が見つかりました。柏木教授が地球温暖化問題の第一人者であるのは以前にも説明しました

わたしがリーダーを務める東京工業大学統合研究院「AES(Advanced Energy Systems for Sustainability)プロジェクト」では、PEFCとSOFCという異種燃料電池の組み合わせによるコプロダクションの研究が、すでに実証実験の段階に入っている。東京ガスや新日本石油の協力も得ながら、東工大蔵前会館(Tokyo Tech Front)に10kW規模の実験用システムの構築を進めており、8月下旬から検証を開始する計画である。

(中略)

都市部におけるエネルギー需給システムを構築する際には、各ゴミ焼却場をバイオマスのエネルギー変換拠点としてとらえ、ネットワーク的に整備していくことも重要であると考える。そのためには、バイオマス、そして前述のコプロダクションシステムの導入とともに、都市部でも特にビルが集中する熱密度の高いエリアには、排熱パイプラインも併せて築いていくべきであろう。

動脈となる上流サイドの系統電力やガスパイプラインとともに、静脈となる排熱パイプラインも利用した循環型エネルギーシステムを構築することにより、都市に配置されるさまざまな分散型システムを連携させ、エネルギーや熱、水素を面的に融通しあえる合理的な統合システムが実現する。これにより、ピーク時に集中するエネルギー需要の負荷を平準化させ、安全性と効率性を兼ね備えた社会インフラを創出できるというわけである。

こうした構想を具現化する取り組みとして、われわれのAESプロジェクトでは、最先端の環境技術を集結させた「ゼロ・エミッション・ビル」を開発する。大岡山キャンパス(東京都目黒区)の緑が丘地区に新設する、AES国際研究センターの活動拠点となる「グリーンモデルビル」に、省エネ性能の高い設備や、再生可能エネルギーによる発電システムや燃料電池を用いたコプロダクションシステムなどを導入し、それらの効果などを検証していく。自身の研究の場となるビル自体を、ゼロ・エミッション・ビルのモデルケースとして構築できれば、社会的意義も限りなく大きい。

[「エネルギー環境イノベーション棟」のイメージ図]

東京工業大学統合研究院「AESプロジェクト」が大岡山キャンパス(東京都目黒区)の緑が丘地区に新設する国際研究センター拠点のグリーンモデルビルのイメージ図(AESプロジェクト作成)

このモデルビルには、屋上緑化をはじめ、雨水利用システムや地中熱ヒートポンプ、太陽熱吸収冷房、SOFCとPEFCによるコプロダクションシステム、殺菌や滅菌処理によって空気の質を向上させる「空気質空調システム」など、さまざまな先進システムを装備。また、エネルギー貯蔵のための蓄電、水素貯蔵、EV充電などのシステムや、管理機能を担うEMS(Energy Management System)、スマートネットワーク、グリーンICT(情報通信技術)も導入できればと考えている。

屋上緑化に地中熱ヒートポンプ、太陽エネルギーはさまざまな太陽光発電パネルを搭載したり等、様々な環境エネルギー技術を搭載し、ゼロ・エミッション —— 自然界への排出がゼロの、地上9階建てのビルを建設するようです。あ、ちなみにこの場所はギリギリ大岡山北地区で、正確には緑が丘地区ではないです。まあどうでもいいですが。

東京工業大学 大岡山北地区 敷地は、現在は自動車部のコースがある場所ですね、東急大井町線 緑が丘駅の改良工事が完了すると、緑が丘駅改札とエネルギー環境イノベーション棟の出入り口はたったの110m、大岡山駅からはTTFを通ってロマンス坂を下ってメインエントランスまでは400mほど、というかなりの好立地です。北は大学の敷地で、南は目黒線・大井町線と東急の線路が4本立体交差、そのまた南側も大学のグラウンドです。南西の宅地にさえ注意すれば、気兼ねなく建設できるという点も良いですね。


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東京工業大学自動車部 自動車避難所 そういえば、自動車部のコースを工事するという名目で、2009年7月頃に所有している自動車を一旦大岡山北地区の空きスペース(大岡山北実験棟4・北実験棟5のさらに北側、バンデグラフ実験棟の東側)に避難していましたね。すぐに自動車は元の場所に戻ってきましたが、もしかしたら将来的にそちらのほうに自動車部のコースを移す計画なのかも知れません。自動車部の車庫脇のスペースは、既に緑が丘駅の改良工事の工事現場として使われていますから、そろそろ代替の場所がほしいところですし。

東京工業大学 エネルギー環境イノベーション棟 建築計画のお知らせ ただし、東工大蔵前会館の裏手に位置する、北門に掲げられていた「建築計画のお知らせ」には、地上7階・地下1階と書かれています。まだ詳しいことはコレから決めていく、ということでしょうか。

また、事業仕分けで科研費が削減されることが話題になっていた2009年10月頃、2ちゃんねるの東工大のスレでこんな書き込みがありました。

92 名前: 学籍番号:774 氏名:_____ Mail: sage 投稿日: 2009/10/16(金) 21:33:12 ID: ???
>>89
あと、自動車部のコースにできるはずだった環境エネルギー棟もね♪

・停止:東工大環境エネルギー棟(仮称)

ただし、こちらのほうは行政刷新会議のウェブサイトを一通り見てもそのような記述がありませんでした。翌年の学長の挨拶でも新棟の建設も始まりますとあるから、その後停止が解除されたか、それとも建築計画を見直して通ったのか、それとも2chの書き込みが元々デマだったのか、でしょうか。

去年末に「地球温暖化のデータが捏造なのでは」と問題になりましたが、資源を無駄遣いしたら資源が底をついて、温暖化の是非に関わらず文明社会が終わってしまうわけで、環境エネルギー技術の発展が必要なのは間違いないでしょう。現状ではいつ、どんな建物が完成するかもよくわからないですが、東工大環境エネルギー機構が次世代のエネルギーの一端を担うと良いですね。

しかし、エネルギー環境イノベーション棟の目の前にある建物が、大岡山北1号館(原子炉工学研究所1号館)と大岡山北2号館(原子炉工学研究所2号館)というのは面白いなあ。建つべくして建つ場所と言うか。



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