日本でも広まる「北京五輪ボイコット論」、でも

以前お伝えした辻谷工業さんの北京オリンピック辞退について、もう少し詳しいインタビューが産經新聞に載っていました。

埼玉県富士見市。有限会社辻谷工業は東京近郊の小さな商店街の一画にある。2階建ての1階が工場、上は自宅。旋盤のハンドルを握り、黙々と砲丸を削っていた辻谷政久さん(75)があっさりと言った。

「北京はやめました」

また、日本を代表する登山家(アルピニストって紹介したほうが良いかな?)である野口健さんのブログに、チベット動乱についての記事が書かれていました。

オリンピック出場の条件として国連などによる国際調査団の受け入れとダライラマとの直接対話を中国に強く要求するべきではないだろうか。オリンピックと政治は別問題とよく言われるが、本当にそうでしょうか。そもそもチョモランマの山頂にまで聖火リレーし、オリンピック開催までに急ピッチでラサを開発し、「中国のチベット」を演出しようとしている中国自身がオリンピックを政治利用しているではないか。「オリンピックと政治は別問題」は所詮は綺麗ごとであり、建前でしょうに、それを鵜呑みにしたらそれこそ中国の思うつぼでしかない。

チョモランマは私にとっての聖地でもあります。中国にとってタブー中のタブーであるチベット問題について発言を繰り返せば二度とチベットに入れなくなるかもしれない。すでにその手の忠告がないはずもない。ひょっとすると、もう二度とチョモランマに帰れないかもしれない。私の故郷が一つ奪われてしまうかもしれない。極めてデリケートなテーマだけに正直、発言に躊躇もしたが、しかし、現場を知っている人間は逃げられない。そして語らないことは加担する事と同じだ。確かに一登山家に出来る事は限られている。しかし、私にも何かが出来るはず。そうせめて声を上げ続けていきたい。

引用したのは記事の最後の部分なので、全文は以下リンクから読んで欲しいのですが、記事から野口さんのチベットの人々への思い、そして中国当局への怒りが伝わってきます。

登山家にとって特別な場所であり、環境問題の点でも自身が取り上げてきたエベレスト(中国名:チョモランマ)にもう二度と登れないかもしれないという危険を冒してでも記事を書いた彼の勇気を讃えたいです。って自分は何様だ。

とにかく、登山家としての視点から書かれたチベット動乱についての記事はこの記事の前後にも書かれています。今後の記事にも注目です。

さて、北京オリンピックボイコットに関して、福田首相はどう考えてるかっていうと・・・

福田康夫首相は2日夜、靖国神社を舞台としたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止が相次いだことに「もし、嫌がらせなどが原因で上映が中止になるというのであれば、誠に遺憾なことだ」と記者団に述べた。

チベット暴動の鎮圧で強硬姿勢を貫く中国政府への批判が国際的に高まっていることには「人権にかかわるようなことがあるならば、懸念を表明せざるを得ない」と述べた。ただ、北京五輪開会式への対応は「中国が努力している最中に、参加するとかしないとか言うべきではない」と述べ、中国政府の対応を見守る姿勢を強調した。

ガソリン税とか日銀総裁とか国内の問題でもはやテンヤワンヤだから、中国とまで問題をこじらせたくない・・・ってことなんだよね、うん。

でも、「中国が頑張ってるからボイコットなんてこと言いません!」って、もう中国に媚びてるとしか思えない。こんなのが日本国の首相だとは、「誠に遺憾」だ。

中国が頑張っているのは、情報統制のほうじゃないのかな? 最近はそれもぼろが出てきたようですが。

あの悪名高い中国の情報統制、宣伝工作にもついにほころびが出始めたようだ。今回のチベット騒乱に関連して、それが明らかになった。

ところが、現地でチベット僧たちが決死の直訴に及ぶという思わぬ事態が起き、逆にチベット抑圧の都合の悪い実態を世界に知らせる結果となってしまった。完璧(かんぺき)を誇ってきた中国の情報統制、宣伝工作にとって、致命的な失敗となった。

取材陣が当局の案内で、ラサの旧市街にある主要寺院、ジョカン寺を訪れたときのことだった。突然30人ほどの若い僧たちが飛び出してきて、当局の制止を振り切り、取材陣に「チベットに自由はない」「(抗議行動と)ダライ・ラマ14世は無関係だ」などと、涙ながらに叫びつつ、直訴した。

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