2011年2月14日追記:この記事は、2002年から2005年にかけて在校していた頃の学校について、2008年に回顧して執筆したものです。書かれた文章の正確性については万全を期したつもりではありますが、全て6年以上も前の事柄であり、現状とは異なる内容が含まれる場合が大いにあります。最新の情報については、学校にお問い合わせください。
管理人・B4たかしは、記事の内容について一切の責任を負いません。
いままでの体験に基づいて、東工大附属高校についてのことがらを語ってきました。ついでに今後の展望なんかも語っちゃいましょうか。
その前に、本ブログでも取り上げましたが、附属高校の一般入試の英語の問題に出題ミスがあるという事件がありました。東京工業大学工学部附属工業高等学校から東京工業大学附属科学技術高等学校に名称変更をした直後の2005年4月のことです。
平成17年度一般入学試験における出題ミスについて
去る2月7日に行われました本校の17年度一般入試の英語の試験問題に、出題ミスのあったことが判明いたしました。
ただちに、入試出題ミス対策委員会を発足させ、あらためて合格判定を行ったところ、新たに14名の受験生が合格基準に達していることが確認されました。この合格者に対しては本校への受け入れ等、誠意をもって対応させていただく所存であります。
あってはならないこのような誤りを起こしたことに対して、受験生はもとより、その保護者ならびに多くの関係する方々に対して深くお詫び申し上げる次第です。
このような事態が再び起きることのないようチェック体制を厳しく見直すなど、万全の再発防止策を講じるとともに、信頼の回復に向けて本校の教職員全員が全力を尽くす所存ですので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
平成17年4月14日
しかし今ここで言いたいのは、英語教員の詰めの甘さとかチェック体制の不備とかではありません。
しかも4月の入学式も済んで授業が始まった頃に判明したところで、今更高校を変えようとする人なんているのかなあ。
後で聞いたら、いたんです、入学した人が。しかも噂によると明治大学付属高校(明大明治ではなく明大中野八王子か?)とかに入学していた人がわざわざ東工大附属高校に入り直したとか。
驚くべき点は二つ。明治大学付属中野八王子高等学校のレベルがほぼ同じこと。そして、わざわざ入学し直すほど東工大附属高校が魅力的な学校だと(少なくともその生徒からは)思われていたこと。
レベルについてはデータ情報元によってかなり差があるので一概には言えないが、以下のページによると、東工大附属高校は明大中野八王子や八王子(文理特進A)と同レベルらしい。同じ国立の筑波大附属や筑波大駒場、お茶大附属、学大附属と比べると雲泥の差だけれど、自分が入学した当時より偏差値が若干上がっているような気がする。以前は都立南多摩くらいだと思ったんだけどなあ・・・。
- 東京都私立高校偏差値[共学] (国立も同じ欄に掲載されてる)
まあ人気が高くなったのもひとえに高大連携特別選抜のおかげでしょう。一般入試では倍率が3倍を超えているそうです。受験する教室が田町に足りなくなり、わざわざ東工大の大岡山キャンパスで入試を行うことなど、以前では考えられないことでした。
なお、2006年度卒業生までは定員が10名であったが2007年度卒業予定者に対する特別選抜枠は11名と増加することになった。今後、ここから更に増加する可能性がある為、それを起因として一般入試の倍率が3倍超となるなど、受験生の人気が高まってきている(一般入試は国立大学附属校では珍しく国語・数学・英語の3教科受験である事から、私立校との併願が比較的し易い事も理由の一つであるという)。
Wikipedia 東京工業大学附属科学技術高等学校の記事 概要より
しかし人気が高まることは良いことばかりではありません。
東工大附属といえば、専門バカの集まる高校という感じでした。たとえば機械科なら、「あの車のエンジンの駆動音がたまらない」とか「今のスカイラインはニッサンじゃなくてオッサンだよ」とかそんな話題が休み時間に飛び交うような。自動車バカだけでなく制御バカとか、そんなアツい奴が集まっていました。
しかし高校の先生に近況を聞いたところ、近頃はそんな熱血的な機械マンが減っているそうです。一番衝撃的だったのは、機械科(機械システム分野)の課題研究で経営をテーマにした生徒がいたと聞いたこと。実際にどんなことをやったかは知りませんが、そういえば4月に2年生になる予定の高大連携学生に、去年の4月に希望学科を聞いたら、4類所属の3人のうち2人が経営システム学科(残る1人は未定)だったっけ。「機械システム分野にいて、合わないと感じた」とか。悲しい、悲しすぎる。
別に経シスが悪いというわけではありません。でも附属高校で3年間科学技術を学んで、特別選抜で東工大に入ってやることかと。もっとものづくりをやらないのかと。あ、むしろ異業種に飛び込むことで可能性を引き出しますかそうですか。
「じゃあどうするべき/どうなるべきなのさ」って言われても困りますが。「附属高校をどうするのか」というのは親玉・東京工業大学の一存にかかっているけれど、今の段階では東工大自身もどうするかを決めかねている様子。とりあえず校名から「工業」を一つ外して「科学技術」を付けたことから、職人的な技術者を育てるというよりは、理論から積み上げられる科学技術者を輩出しようという魂胆が伺えます。
ぶっちゃけていえば、ものづくりしかできないような専門職人を育てるのは、他の工業高校に任せちゃって良いと思います。東工大附属高校が育てるべき人材は、理論で裏付けられる科学力とそれを実践して作業に移れる技術力を兼ね備えた科学技術者でしょう。ただ、理論だけに偏ってしまうような「科学者」を育ててしまっても仕方がないです。そういうのは他の理数コースとかに任せちゃいましょう。
他のそんじょそこらの高校(普通高校も工業高校も含む)に出来ることをまねても仕方がないです。「東工大附属だからこそできる」ということを実践して行けば良いんじゃないでしょうか。
・・・個人的には、校舎の設備くらいは(特に音楽室とか)もうちょっと普通の高校並みにグレードアップしてほしいところですけど。
長くなりましたが、「東工大附高校を振り返る」シリーズは取りあえず5回でおしまい。でも使っていない画像とかあるし、文が読みにくいところも読み返すとありそうだし、後から追記します。そして東工大附についての話題は、情報が入り次第(気まぐれに)b4logでお伝えして行きますよ。