付け焼き刃でも何とかならないことは無いが

来てくださったお客様には申し訳ないのだけれど、私としては全力を出しきれない状態の、不本意な本番を迎えてしまいました。

ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団 第43回定期演奏会
ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団 第43回定期演奏会

日時
2017年1月22日(日) 開場13:15 開演14:00
会場
大田区民ホール・アプリコ 大ホール
指揮
山元富雄
曲目
ジャン・シベリウス / 交響詩「春の歌」作品18
カール・ニールセン / 交響曲第2番 ロ短調「四つの気質」作品16 FS.29
ピョートル・チャイコフスキー / バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71より

  • 小序曲
  • 第1幕
    • 第1曲 情景<クリスマスツリー>
    • 第2曲 行進曲
    • 第3曲 子供たちの小ギャロップと両親の登場
    • 第5曲 情景と祖父の踊り
    • 第6曲 情景<招待客の帰宅、そして夜>
  • 第2幕
    • 第12曲 ディヴェルティスマン
      • e. 葦笛<葦笛の踊り>
      • d. トレパック<ロシアの踊り>
      • a. チョコレート<スペインの踊り>
      • b. コーヒー<アラビアの踊り>
      • c. お茶<中国の踊り>
      • f. ジゴーニュ小母さんと道化たち
    • 第13曲 花のワルツ
アンコール : ピョートル・チャイコフスキー / バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71より 第2幕第15曲 終幕のワルツとアポテオーズ

市民オーケストラであまり取り上げられる機会のない曲と有名な曲をセットにした曲目の演奏会を行う、ヴィルトーゾ・フィルハーモニー管弦楽団というアマチュアオーケストラの存在は以前から知っていました。

しかし、私がこの演奏会への出演が打診されたのは、なんと本番の4日前。諸事情によりファゴットのアシスタントが必要となったそうで、前日のG.P.と当日のホールリハーサルのみで演奏会に臨むという、ハイリスクな公演を行う羽目になりました。

私が出演したのはメイン曲であるチャイコフスキー「くるみ割り人形」ですが、出演打診までどんな曲だったかよく知りませんでした。組曲ならうっすら聞き覚えがあるのですが、組曲版に含まれない曲もいくつかあり、G.P.でようやく曲の全貌が把握できました。

数多あるチャイコフスキーの曲と同様、曲の静かな場面ではファゴットが重要な役であることが少なくありません。第1幕「情景<クリスマスツリー>」ではクラリネットとファゴットのメロディの掛け合い、「情景<招待客の帰宅、そして帰宅>」ではクラリネットメロディを支える刻み、「コーヒー(アラビアの踊り)」はエキゾチックなアラビア風のメロディをファゴット2つのデュオで、などなど。

練習期間が十分にあれば「ファゴット冥利に尽きる」というラインナップですが、いかんせん本番までに残された時間はわずか、「失敗する箇所を最小限に押さえる」という何とも消極的な演奏をせざるを得ませんでした。しかも前日のG.P.直前に風邪をこじらせて粘膜が弱ったせいなのか、リードで舌を切ってしまい、タンギングするのにも苦痛を伴う状態でした。一晩寝ても変わらず、口内血だらけで本番となりました。演奏中はアドレナリンが分泌されるのか痛みはそれほど感じなかったのが幸いでした。演奏後はリードが血塗れで、殺人事件の凶器のようでしたが。

本番直前までパート練習を行った付け焼き刃が功を奏し、本番もなんとか事故無く終わりました(中プログラムであったようですが、そちらは楽屋で聞いていました)。アンケートの結果も上々なようで、全体としては良い演奏会だったようです。

しかしながら、自分が曲の全貌を把握することなく終了してしまい、個人的には消化不良でした。せめてあと1週か2週、早く打診されていれば、音源を聞いて曲を覚え、何度か練習を重ねることでアンサンブルも組み立てられたのですが。

また、これもまた急遽呼ばれたためだとは思いますが、パンフレットに私の名前がない演奏会、というのも心残りです。演奏本体には直接関係ないのでしょうが、形に残るものだから…

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