山口百恵はNHK紅白歌合戦で「真紅なクルマ」と歌った、というのはガセ

何はともあれ、1978(昭和53)年、第29回NHK紅白歌合戦の赤組トリの曲、山口百恵の「プレイバックpart2」の映像をご覧ください。

1978年の山口百恵のヒット曲「プレイバックpart2」に、「真紅(まっか)なポルシェ」という歌詞が出てくるのですが、NHKにおいて歌われるときには、会社の宣伝になるとして「真紅なクルマ」と言い換えられた、という話をよく聞きます。

しかし、NHK紅白歌合戦では、上記の映像の通り「真紅なポルシェ」と、読み替えせずに歌っています。

きっかけは下記の記事、「『障害』は戦前は『障碍』と書いていた、というのは必ずしも正しくない」という内容です。

で、この記事の最後で、山口百恵のプレイバックpart2の話題が出てくるわけです。

話は変わるのですが、同じタイプの思い込みとして、古い話ですが“「NHKの紅白で山口百恵は『真っ赤なポルシェ』を『真っ赤なクルマ』と変えて歌わされた」”というものがあるようです。

実際は「普段の歌番組では『真っ赤なクルマ』にされていたが、紅白だけは『ポルシェ』だった」というもので、検証している記事があるのですが、そのコメント欄に

私が小学生か、中学生の頃のある年の紅白で、真っ赤なくるまと歌ってるのをこの目で見て、聴いて、子供ながらに非常に違和感を覚えた記憶があります。

私もこれ見ていましたが、「真っ赤な車」と言っていましたよ。

と書いている人がいたりして、気持ちのいい考えの影響力(記憶改竄力)というのは恐ろしいものだと思わされます。

さらっと流しているけど、えっ、マジで!??と思って調べたわけです。「ポルシェ」を「クルマ」に変更させて、また「ポルシェ」に戻した経緯は、ウィキペディアにも書かれていました。

NHKの音楽番組(『レッツゴーヤング』など)に出演した際は歌詞中の「ポルシェ」の部分が宣伝に当たるという理由から「クルマ」に置き換えて歌っていた。しかし、自身初の紅組トリで出場した『第29回NHK紅白歌合戦』での歌唱をきっかけに、以後はNHKでも「ポルシェ」と歌っている。

調べてみたところ、確かに「真紅なクルマ」と歌っている映像も残っていました。

紅白歌合戦でプレイバックpart2を歌ったのは、出場歴を見ても1978(昭和53)年の一度だけ。よって、「山口百恵が「プレイバックpart2」をNHK紅白歌合戦で歌った時、『真紅なクルマ』と歌詞を変更させられた」という、まことしやかな噂は間違いということになります。

ただ、これ以前のNHKの番組では変更していたこともあったのも確かであり、その噂を信じていた人はそれと混同していたということでしょう。

最初の「障碍」と「障害」という話からだいぶ逸れてしまいましたが、私はこの事実にかなりビックリしました。というのも、山口百恵をリアルタイムで観ていた私の母(来年で還暦)が、何度もこの話をしていたからです。人の記憶というのは、随分とあやふやなモノのようですね。

Facebook にシェア
LINEで送る
Pocket