スラブ行進曲 (ソビエト政府の改竄版)

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ブルックナーの作品(特に交響曲)は作曲者本人の改訂や、ハース版とノヴァーク版による違いなど、同じ曲でも様々な版が存在していることで有名です。詳細はWikipediaの記事をご覧くださいな。というかもう自分では把握しきれません。

これほど極端ではないにしろ、用意したパート譜と店頭で買ったスコア(総譜)が違うということは結構あります。もしかしたら、全く同じ譜面って存在しないのかも。多くの場合は校正者の間違いか、作曲した版の違いでしょうが。

まれに、政治的圧力によって手が加えられた曲もあります。チャイコフスキーの曲が、ソビエト連邦の革命政府によって改竄されたのがそれです。

チャイコフスキーの「スラブ行進曲 作品31」では途中から帝政ロシアで国歌だった「神は皇帝を守り給い (God Save the Tsar)」が引用されています。まあ帝国の曲なんて共産党が認められるはずもないので、その部分はカットされています。jurassicさんのサイトによると以下の通り:

  • 123小節から

    チューバと弦楽器に「国歌」が現れますが、ドーヴァー版では2小節目から3小節分まるまるカットされています。したがって、「国歌」のメロディーは全く分からなくなってしまいました。

  • 200小節から

    5小節目からファゴット、トロンボーン、チューバ、低弦に「国歌」が現れます。ドーヴァー版はこれを前半と同じヴァンプに変えました。最後の音も違いますが、じつはドーヴァー版ではこの後に続く三連符主導の4小節間をカットしているのです。

チャイコフスキー以外の曲も改竄されたりしたのかな (ショスタコーヴィチとかを除いて)?

jurassicさんはDOVERのスコアを取り寄せたようですが、実は以下の「Free Sheetmusic Library」からPDFで見ることが出来ます。また、音源がmp3で載せてあるサイトもあるので、興味のある人はどうぞ。

実は最初にFree Sheetmusic Libraryでスコアを見つけて、「やった、これ印刷すれば買わなくて済むじゃん」と思って音源と比較したら、小節数が違ってビックリしたのはここだけの話です。

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